最近話題の「筋膜リリース」(shutterstock.com)

写真拡大

 最近、「筋膜リリース」という手法が、さまざまなところで話題になっている。このサイトでも「肩こりと筋膜」の関係性に触れている。

 今年1月に開催された「第50回日本成人病(生活習慣病)学会学術集会」で、筋膜と糖尿病の関係性が発表された。発表者は、東京医科大学八王子医療センター糖尿病・内分泌・代謝内科の天川淑宏氏である。

 天川氏によると、膝から下に合併症の症状があり運動療法ができない糖尿病患者に下腿筋膜リリース(Myofascial Release:MR)を施行した結果、身体活動量が平均17%増加したほか、体重の減少、HbA1c値の改善などが見られたという。

 つまり下腿筋膜リリースは、運動療法の代替となる可能性があるというのだ。

筋膜リリースで機能が改善

 この効果は、筋膜リリースを行ったことで、糖尿病患者の基礎代謝量や活動量が向上したことよる。糖尿病患者は、筋膜が糖化されてしまい、関節や筋肉が動きづらくなってしまっている。それによりストレッチや運動をしても効果が半減。筋膜リリースによってこの筋膜の機能が改善されたと推測できる。

 筋膜をねじれや癒着から解放し適切な状態に戻してあげることで、関節が動きやすくなったり、筋膜に覆われている筋肉がより働きやすくなる。働きやすくなるということは、同じ動きをしていても運動量や活動量が増えることでもあり、それはつまり、体重減少や筋肉向上にも効果があるということである。

 実際、少し前のテレビ番組『あのニュースで得する人損する人』(日本テレビ系)でも、筋膜リリースを1日10分程度行ったことで半年後には体重が10kgも減少したという報告をしている。

 この原理は、筋膜リリースを行うことで、筋膜の配置が整理され、筋肉や関節が動かしやすくなる。その結果、基礎代謝が上がり、いつも通りの日常生活をしていても基礎代謝量が上がっているために、体重減少につながったというわけだ。
「筋膜の時代」の幕開けか?

 筋膜は肩こりや糖尿病だけではなく、さまざまな身体の不調を治す可能性を持っている。筋膜に対しての施術を得意としているサロン「トリガー」(東京都港区)の半田学代表(理学療法士)は次のように解説する。

 「肩こりや腰痛はもちろんのこと、病院で原因不明だと言われていた痛みが筋膜の調整によって改善したケースはかなりあります。もし原因がわからずに悩んでいるケースがあれば、一度、筋膜へのアプローチを検討することをおすすめしています」

 筋膜にはさまざまな可能性が秘めていることが最近の研究で明らかになってきている。ヘルスケアは、 「筋膜の時代」の幕開けなのかもしれない。
(文=編集部、監修=三木貴弘)

三木貴弘(みき・たかひろ)
理学療法士。日本で理学療法士として勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の医療、理学療法を学ぶ。2014年に帰国し、現在は東京都で理学療法士として医療機関に勤務。その傍ら、一般の人に対しても正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。執筆依頼は、"Contact.mikitaka@gmail.com"まで。