“最高と最低の両極端” 境界性パーソナリティ障害とは

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「 境界性パーソナリティ障害 」の人は感情が不安定で、他者に対する評価も賞賛と幻滅が即座に入れ替わります。
見捨てられることへの不安が強く、周囲を感情的に巻き込んで混乱を招くことも多く、一度受け入れると際限なく依存してきます。

こうした言動の背景には深い自己否定感があり、それは親子関係に由来します。境界性パーソナリティ障害の人とは、できるだけ一定の態度で時間をかけて、距離を持ってつき合っていくことが必要です。
そのために、あらかじめ制約や限界をハッキリとさせておくことが重要となります。この障害の克服のポイントは、両極性からの脱出と、自分のことは自分で責任を負っていく自立です。

境界性パーソナリティ障害の特徴


気分と人間関係において、「最高」と「最低」の両極端が目まぐるしく変動するのがこのタイプの特徴です。
愛情に飢え、これはという人に出会うと、期待が急速に高まり、極度に理想化し、どんどん依存を深めていきます。

けれども、相手が支え切れず、過大な期待に尻込みすると、見捨てられる不安に駆られ、必死にしがみつくか、相手に大きな失望や怒りを覚えます。そして、相手を困らせる言動に出るため、本人も周囲も傷つき、疲弊するというパターンに陥ります。

典型的に見られる言動とは


自傷行為や自殺企図、うつ状態、パニック症状、摂食障害、薬物乱用などを起こし、治療を受けるきっかけともなります。深い自己否定感を抱いていることが、こうした言動に走る原因と考えられており、いつも綱渡りでギリギリの選択をしながら、どうにか生き続けている印象です。

こうした空虚感から、刺激剤として、恋愛・セックス・薬物・自傷行為など、スリリングな行為に走ります。
例外なく親に対する深いこだわりを持っており、必要な愛情を受けられず、うまく親を卒業できていないという共通点があります。

また、このタイプは女性に多く、男性の約3倍いると言われています。米国では人口の2%程度おり、日本もこの数値に近づきつつあると言われています。親子関係の病理を色濃く反映するパーソナリティ障害として、パーソナリティ障害の研究では最も早くから注目されてきました。

境界性パーソナリティ障害の人との接し方


境界性パーソナリティ障害の人は気分や行動が目まぐるしく変化するので、周囲の人は良い時も悪い時も、できるだけ一定の態度で接することが大切です。本人がいちばん恐れているのは「見捨てられる」ことなので、適度な距離で長く接し続けられることが、この障害の克服には何より大切です。

ここまではできるが、これ以上はできないという「限界設定」を共有することが必要で、「かわいそう」という同情に溺れると、支援者も巻き込まれてしまう羽目になります。

また、愛情や関心を掻き立てるために、自殺を企図することもあります。よく話し合って、こうした行為をしないと約束を取り付ける「行動制限」も大切です。病院などの医療機関と家族や周囲が、こうした点を一貫して対応していくことが必要となります。

この障害を克服するには?


このタイプは両極端なので、あいまいな中間の領域が発達していません。あいまいさに耐えることを習得できるかどうかが克服のポイントです。

対人関係でも同じように、多少のトラブルはあっても、細く長く、じっくりと長くつき合える関係を築けるかどうかにかかってきます。また、他人のせいにしてしまわずに、自分で自分を支えられるようになることも重要です。失敗と挫折のストレスや孤独に耐えることができると、自分が強くなるのを実感できるタイプでもあるので、そうした部分を伸ばしてくのが理想的です。

●山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院博士課程修了、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ 副社長