Jリーグ2016、いよいよ本日27日(土)開幕! その開幕カードの見どころ、そして今季の展望について、ニッポン放送サッカーパーソナリティ煙山光紀アナウンサーと洗川雄司アナウンサーの二人に話を聞いた。
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広島・ガンバの2強。浦和が少し下がった2.5強


─── ズバリ、今季の優勝候補は?

洗川 先週のゼロックス杯を見てしまうと……やはりサンフレッチェ広島かな、と。昨季リーグ戦21得点のドウグラスが抜けた穴が心配されていましたが、その穴を埋めるように清水からピーター・ウタカが加入。そして私が一番驚いたのが、ゼロックス杯では2列目で起用された茶島雄介。ガツガツとプレーしている姿を見て、戦力はそれほどダウンしてないんだということを感じました。

煙山 広島はベースがしっかりあるのが強み。ただ、ドウグラスがゴールゲッターだとすると、ウタカはチャンスメーカーだと森保監督は言っていました。ゼロックス杯ではゴールを決めてますが、僕は若干落ちたかな、という気もします。でも、毎年これだけ主力級が抜けて、それでも今年も勝つとなれば、森保一恐るべし! ですよ。去年の終盤、とんでもない過密日程の中でもクラブW杯で3位になったという経験値も大きいと思います。だから優勝候補とすれば、その広島とガンバ大阪、あとは浦和レッズかなと。

─── 去年の上位3チーム。

煙山 そうですね。ガンバには横浜FMからアデミウソンが加入しましたけども、ゼロックス杯ではまだ機能していませんでした。また例によってスロースターターなのかなと。競馬でいうと広島が好スタートで逃げ、ガンバは最後に猛然と追い上げてくるのかな、というイメージです。

─── 浦和は?

煙山 浦和はいつも面白いサッカーはするんですが、最後のここぞ! という場面で守備が甘くなってしまうのがこれまでのイメージ。DFにイリッチと遠藤航が加入したことでそこが改善できれば、優勝戦線に絡んでくると思います。広島・ガンバの2強に、浦和が少し下がった2.5強ぐらいのイメージですかね。

─── その3チームに絡んでくるダークホースは?

煙山 鹿島アントラーズはやっぱり、去年のナビスコ杯を見ても強かったし、金崎夢生が結局、完全移籍の形でチームに残ったことが大きい。伸び代も含めて期待値は高いです。あとは、川崎フロンターレは好不調の波がとても大きいチームだと思うんですけど、17節と短い2ステージ制であればハマれば面白い。

洗川 私もダークホースは鹿島と川崎です。ただ、鹿島の柴崎岳が急性虫垂炎の手術で開幕にはちょっと間に合いそうにありません。スタートダッシュはどうなのかな、というのが心配な点です。

─── 洗川さんのフロンターレ評は?

洗川 守備がずっと課題なんですけども、攻撃に関しては大久保嘉人という3年連続得点王がいるわけですから。あとは去年48もあった失点数を10ぐらい減らして……まあ年間で10減らすって大変なんですけど、30台に失点を留められると、得失点差は優勝候補の広島・ガンバ・浦和の3チームに匹敵します。去年は3バックがベースでしたが、今季はキャンプで4バックにも取り組むなど、違うシステムを使ってきています。その辺がうまくハマると可能性はあるかなと思います。

煙山 川崎は、風間八宏体制が今年で5年目。ただ面白いだけじゃなく、結果を出さないといけないところまで来ていると思います。


小倉・名波という存在が何かのキッカケになってくれたら


─── チーム単位ではなく、選手や監督など個人名を出すとすれば注目は誰でしょう?

煙山 うーーーーん……個人ではあまりいないんですよねぇ。あえて言うなら、広島のDF塩谷司かなぁ。ディフェンス面は抜けた存在なのに、今ひとつ代表に定着できない理由がクロスの精度。でも、先週のゼロックス杯では佐藤寿人にいいクロスを上げていました。攻撃の部分でもうひと皮剥ければ、一気に代表レギュラーに定着してもおかしくない選手ですね。あとは……個人名出てこないなぁ。

洗川 森保監督もプレスカンファレンスでは盛んに「組織力」という言葉を使っていました。個人じゃないと。ただ、私は先ほども名前を挙げた茶島雄介にちょっと注目しています。去年のクラブW杯準々決勝、アフリカ代表マゼンダ戦で活躍したことで自信をつけたみたいです。ゼロックス杯の試合後のコメントでは、「余裕がない拮抗している場面でも前を向いてプレーできるようになりたい」と、ちゃんと自分の課題も明確に口にしていました。大卒3年目、Jリーグの中では追いかけておくと面白い選手かな、という気がします。

─── ライト層のファン目線でいくと、名古屋の小倉隆史GM兼監督だったり、磐田の名波浩監督のJ1初采配だったり、現役時代を知る若い指導者たちの動向が気になるところじゃないかと。

洗川 しかも、名古屋と磐田はいきなり開幕戦で対決です。

煙山 ニッポン放送の開幕中継カードは広島対川崎戦なんですけども、同時刻の磐田対名古屋の開幕カードも静岡放送のアナウンサーにつないで、ゴールが入ったらすぐに呼びかけるスタイルを予定しています。

─── 名波監督はJ2での実績があるわけですが、正直、「小倉采配」というのがイメージできません。

煙山 僕もそうです。正直なところ、サッカーに詳しい人たちの間ではそんなに期待されていないと思うんです。だからこそ、それを覆すような結果を出してくれると面白くなると思います。

洗川 広島の森保監督だって、就任当初ここまで結果を出し続けるなんて、誰も思っていなかったわけですから。

煙山 もしかしたらすごいアイデアがあって、「名古屋、今年はこんなことやるのか!?」を見せてくれる可能性も。そこは、開幕戦で注目したい点ではありますね。解説者時代は、どちらかというとキャラクター型だったと思うんです。でも監督としては意外と……というタイプかもしれない。ガンバの長谷川健太監督がそうだったんですよ。今では緻密な監督として知られていますが、ニッポン放送の解説者時代は、「チャンスですよぉ!」というフレーズが売りみたいな人でしたから。

洗川 小倉さんとは、2006年のドイツW杯のときに実況・解説で組ませていただいたんですけど、細かいところにも目線を置いていて、この人なりの視点があるんだなと感じました。名古屋というチーム事情をよく知っている人でもあるので、血の入れ替えがどう作用するか? 一方の名波監督も、クラブのことをよく知っているという点では同じです。J2の戦力のままJ1で上位を目指すのは難しいとは思うんですが、どんなサッカーを見せてくれるのか? 

煙山 大方の予想では、いきなりGM兼監督なんてうまくいかないなだろう、という声が多数です。その予想をいい意味で裏切って欲しい。そういう驚き、ライト層の人が惹かれるような話題が今のJリーグには欠けている気がするので、小倉・名波という存在が何かのキッカケになってくれたら嬉しいですね。

洗川 監督人事でいえば、去年までFC東京を率いていたフィッカデンティが鳥栖の監督に就任しました。豊田陽平がガツンと決めた1点を守って1対0で勝つ、みたいな「ウノゼロ」サッカーを鳥栖でもやりそうです。むしろ、フィッカデンティの哲学はFC東京よりもハマるかもしれません。


2ステージ制という理不尽さを乗り越えた先にあるもの


─── 去年のJリーグを振り返ると、2ステージ制採用が大きなトピックスでした。戦前は賛否ありましたが、実際やってみてどう映りましたか。

煙山 僕は心の中ではものすごく反対だったんですよ。でも、やってみたら思った以上に良かったなという印象です。浦和とガンバのチャンピオンシップ準決勝がすごくドラマチックになったし、決勝一戦目も劇的な試合だったじゃないですか。成功だったと思います。

─── 決勝一戦目は広島が後半アディショナルタイムで同点、勝ち越し弾を立て続けに決めました。正直、ガンバが勝っていてもおかしくなかった試合でした。

煙山 もしかしたら、年間勝ち点で10以上リードしていた広島が負けていたかもしれない、と考えると、理不尽なシステムではあるんです。でも、この理不尽を乗り越えることで広島はもう一段上のたくましさを手にすることができるかもしれないし、ライト層にアピールするという意味でも良かったんじゃないかと思います。

洗川 浦和も去年、ぶっちぎりで1stステージの王者になり、それでも年間王者には届きませんでした。そこで今年、浦和が何をやったかというと、鹿児島・指宿での18日間の長期キャンプ。昭和を思わせる厳しいキャンプに挑んでいるところがちょっと面白いです。

煙山 浦和には強くなってもらわないと困るんですよ。どうしても勝負どころでひ弱な部分が出てしまう。だからこそ、この理不尽な制度でタフさを身につけて欲しい。

洗川 2ステージ制にしたことで何が変わったか、Jリーグもちゃんと検証をしているんですが、2015年は開始15分での得点が前年よりも10%増加。逆転試合は前年よりも20%増加しました。

煙山 劇的になっていると。

洗川 要はステージ17試合と短いがために、ガツガツゴールに向かって点を取らないとタイトルが獲れない、というサッカーに変わってきている。ペナルティエリア外からのシュートも、前年よりも43%もアップしました。

煙山 でも、エリア外から43%アップ、と言われても、枠内にどれだけいったんだ? という見方もあります。とんでもない方向に打たれると、逆に盛り下がることもありますから。

洗川 いずれにせよ、2ステージ制2年目の今年もいろんな視点で検証していく必要があるでしょうね。

佐藤寿人と大久保嘉人。通算得点ランキング争いも注目


─── 最後に、開幕カードの注目点を改めて。

洗川 ニッポン放送は本日の開幕カード、サンフレッチェ広島対川崎フロンターレ戦を生中継でお届けます。

煙山 Jリーグ通算得点ランキングでは、広島の佐藤寿人が157得点。中山雅史さんと並んで歴代1位タイです。そして川崎の大久保嘉人が1点差の通算156得点。どちらが通算得点ランキング単独1位に躍り出るのか? そこがひとつの注目点でもありますので、洗川アナには大久保を中心に見てもらい、地元RCC中国放送の石橋真アナウンサーには佐藤寿人にフィーチャーしてもらいます。

洗川 佐藤寿人はゼロックス杯で左太もも裏をちょっと痛めたのがどうなのか? 試合後は普通に歩いていたんですけども、起用方法も注目です。

煙山 予想通りじゃないことが起きるのが面白いところなので、そう来たか!? みたいなことが起こってくれるとすごくいいですよね。

洗川 そして、同時中継として、先ほども名前が挙がった名波浩監督対小倉隆史監督=磐田対名古屋戦でゴールが入ったらすぐにゴールジングルが鳴ることになっています。

煙山 ゴールが入れば入るほどゴールジングルが鳴って、メインカード以上に盛り上がってしまうこともあります。去年も広島が2nd優勝を決めたゲームを中継したんですが、早々に年間優勝が見えたこともあり、注目はFC東京とガンバ大阪のどちらが年間3位になるか、でした。なので、後半20分位からFC東京対鳥栖戦の現場に行っていた洗川アナに渡しっ放し。「大変でしょうけど頑張ってください」と、ずっと実況してもらったことがあります(笑)。

洗川 機材も自分で持って行って、ディレクターもミキサーも解説者も誰もいない中、たった一人で延々しゃべり続けたという(笑)。

煙山 やっぱり、試合は生き物なんですよね。いろんな要素が組み合わさったら、たまたまそうなったんです。そういう事前の予想を超える驚きを味わえるのが僕らスポーツアナウンサーの醍醐味でもあり、サッカーの醍醐味です。

洗川 サッカーコメンテーターの金子達仁さんが、お馴染みの「うわっー!」と声を出す展開を期待したいと思います。そして、ニッポン放送のワイドFM「HAPPY FM93」での中継も、Jリーグの試合では今回が初となります。すでにradikoで聴いているリスナーもいると思うんですけど、radikoで伝えられる音の範囲と、FMラジオで伝えられる音の範囲って技術的にも違っていて、FMラジオのほうがより音が深くて広い特徴があります。マンションの中でも聴くことができますので、ぜひそちらでもお楽しみいただければと思います。

◆2月27日(土)午後2時〜 ニッポン放送Jリーグ開幕戦「サンフレッチェ広島×川崎フロンターレ」完全実況中継!
サッカーパーソナリティ:煙山光紀 サッカーコメンテーター:金子達仁(スポーツライター)


(オグマナオト)