日本チーム「サンウルブズ」の参戦で注目を集めるスーパーラグビーが、いよいよ2月26日に開幕する。五郎丸人気で近ごろメディアを賑わしていますが......そもそも、「スーパーラグビー」ってなに?

 まずは、簡単な概要から。「スーパーラグビー」というのは、ラグビーワールドカップで優勝経験のある南半球の強豪3ヶ国――ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカで組織された団体が運営する「国際リーグ戦」のことである。15人制ラグビーがプロ(オープン)化した翌年の1996年にスタートし、今年で21年目。世界のトップ選手が集まることから、「世界最高峰のプロリーグ」と言われている。

 参加するチームは「18」。今年から日本の「サンウルブズ」に加え、アルゼンチン代表メンバーを軸に構成された「ジャガーズ」も参加することになった。つまり、昨年のワールドカップで準決勝に進出した4チーム(優勝=ニュージーランド、準優勝=オーストラリア、3位=南アフリカ、4位=アルゼンチン)の国がスーパーラグビーのベースとなり、そこにサンウルブズが戦いを挑むというわけだ。

 南アフリカこそ事情が少し異なるが、例外を除いて基本的にニュージーランドやオーストラリアは、スーパーラグビーのチームでプレーしないと代表になることができない。そのため、スーパーラグビーの舞台はすでに代表に選ばれている選手だけでなく、国の将来を担う若手がアピールする場でもあり、ナショナルチーム同士のテストマッチよりも攻撃的なラグビーが展開され、見ているものを魅了する。

 スーパーラグビーに参加する選手は、間違いなく世界のトッププレーヤーと言えるだろう。たとえば、2015年ワールドカップの得点ランキングとトライランキングのベスト3を見てみると、いずれもスーパーラグビーの各チームに所属している選手ばかりである。

【得点ランキング】
1位 97得点 ニコラス・サンチェス(SO/アルゼンチン代表/ジャガーズ所属)
2位 93得点 ハンドレ・ポラード(SO/南アフリカ代表/ブルズ所属)
3位タイ 82得点 バーナード・フォーリー(SO/オーストラリア代表/ワラタス所属)

【トライランキング】
1位 8トライ ジュリアン・サヴェア(WTB/ニュージーランド代表/ハリケーンズ所属)
2位 6トライ ネヘ・ミルナー=スガッター(WTB・FB/ニュージーランド代表/ハリケーンズ所属)
3位タイ 5トライ JP・ピーターセン(WTB/南アフリカ代表/シャークス所属)

 スーパーラグビーとは、強豪国のワールドカップメンバー、代表経験のあるベテラン、そして次世代を担う若手が数チームに分かれて編成され、リーグ戦を行なっていると考えれば理解しやすい。また、プロリーグであるため、エンターテイメントに特化した部分も持ち合わせている。「4トライ以上挙げた場合」に無条件で与えられたボーナスポイント(1得点)が、今年から「3トライ以上」にルール変更され、よりアグレッシブな試合が見られることだろう。

 次は、スーパーラグビーの18チームについて。参加するチーム名は以下のとおりだ。

【オーストラリア・ニュージーランド・グループ】
[オーストラリア・カンファレンス]
ワラタス (11勝5敗)
ブランビーズ (9勝7敗)
レベルズ (7勝9敗/松島幸太朗)
レッズ (4勝12敗/五郎丸歩、ツイ ヘンドリック)
フォース (3勝13敗)

[ニュージーランド・カンファレンス]
ハリケーンズ (14勝2敗)
ハイランダーズ (11勝5敗/田中史朗)
チーフス (10勝6敗/リーチ マイケル、山下裕史)
クルセイダーズ (9勝7敗)
ブルーズ (3勝13敗/マレ・サウ)

【南アフリカ・グループ】
[アフリカ・カンファレンス1]
ストーマーズ (10勝5敗1分)
ブルズ (7勝9敗)
チーターズ (5勝11敗)
サンウルブズ (初参戦)

[アフリカ・カンファレンス2]
ライオンズ (9勝6敗1分)
シャークス (7勝9敗)
キングス (2度目の参戦)
ジャガーズ (初参戦)

※カッコ内は昨シーズンの成績。

 昨年のワールドカップに出場した日本代表選手は、HO(フッカー)堀江翔太を筆頭に、LO(ロック)大野均、SO(スタンドオフ)/CTB(センター)立川理道、WTB(ウイング)山田章仁らがサンウルブズとして参戦。一方、FL(フランカー)/No.8(ナンバーエイト)リーチ マイケル、SH(スクラムハーフ)田中史朗、FB(フルバック)五郎丸歩などは、オーストラリアやニュージーランドのチームの一員としてスーパーラグビーに挑む。

 オーストラリア・ニュージーランド・グループ(5チーム×2カンファレンス=10チーム)と、南アフリカ・グループ(4チーム×2カンファレンス=8チーム)の合計18チームのレギュラーシーズンは、2月末から7月中旬まで17週にわたって計15試合。対戦カードの内訳は所属するグループによって異なり、たとえばサンウルブズの場合は、同じアフリカ・カンファレンス1のチームとホーム&アウェーで計6試合、アフリカ・カンファレンス2のチームと4試合、さらに今年はオーストラリア・カンファレンスのチームと5試合で、計15試合となる。なお、サンウルブズのホームゲームは、東京・秩父宮ラグビー場で5試合、シンガポールで3試合が行なわれる。

 そして、リーグ戦のレギュラーシーズンを終えると、プレーオフ・トーナメントが開催される。プレーオフに出場できるのは8チーム。各カンファレンス1位の4チームと、南アフリカ・グループ2位以下の6チームのうち総勝ち点がもっとも多い1チーム、オーストラリア・ニュージーランド・グループ2位以下の8チームのなかで総勝ち点・上位3チームの合計8チームが進出。7月22日〜23日にプレーオフ準々決勝、7月29日〜30日に準決勝、そして8月6日に決勝戦が行なわれ、今年のスーパーラグビー王者が決定する。

 2015年までの20年間の歴代王者を見ると、優勝7回を誇るクルセイダーズを筆頭に、ニュージーランド勢が計13回も頂点に立っており、オーストラリア勢ではブランビーズ(2回)、ワラターズ(1回)、レッズ(1回)の計4回。南アフリカ勢は、ブルズが優勝した3回のみだ。昨年はハイランダーズとハリケーンズのニュージーランド同士が決勝に駒を進め、ハイランダーズが初優勝を遂げた。

 今年もニュージーランド勢が優勢と予想されるが、初参戦のジャガーズはメンバーの多くをアルゼンチン代表で固めているだけに、ダークホースとなる可能性を秘めている。同じく初参戦のサンウルブズは、やはり苦戦を強いられるだろう。

 ただ、サンウルブズの参戦によって、国境を越えた世界最高峰のアタッキングラグビーが東京・秩父宮ラグビー場で見ることができる(サンウルブズの日本・開幕戦は2月27日)。選手たちにとっても2019年のワールドカップに向けて、よい強化の機会となるだろう。日本人がどこまで世界と戦えるのか、スーパーラグビーはその実力を測る格好の舞台である。

斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji