AndroidやiPhoneなどの通話やメールの内容、写真、周囲の盗聴など様々なスパイ活動が行えるアプリ「SPYERA」。スマホ側から検知できず、アンインストールも行えない厄介な存在と言える。
 違法薬物に手を染めてしまった国民的デュオ「CHAGE and ASKA」のASKA氏。その背景には、激務や周囲のプレッシャーはもちろん、被害者を心理的に追い詰める盗聴被害があったとASKA氏本人が語ったとされるブログ(現在は削除、真偽は不明)が、話題となった。

 これを、単なる「ヤク中の妄想」で片付けるのは早計だ。ワイヤレスでコントロールできるスマートフォンが普及した今、誰もが盗聴や盗撮の被害に遭う可能性は否定できなくなっているのだ。

 そこで、なぜ携帯電話やスマートフォンが狙われ、どのような被害が発生しうるのか。そして、被害に遭わないための対処法を紹介しよう。

◆盗聴器はスマホに仕掛けるのが主流に!

 盗聴や盗撮といった、他人のプライベートを覗き見てしまう行為は、今に始まったことではなく、昔から行われている行為だ。

 従来は、盗聴器や盗撮カメラなどの機器をターゲットの生活圏内に仕掛けるというのが基本的な手口だったが、機器を購入して設置するといった手間がかかってしまうことに加え、盗聴発見器による除去リスクもある。加えて、盗聴器は一般的に微弱な電波を使って盗聴した内容を送信する仕組みを持っているため、設置した場所に近づかなければ受信できないといったデメリットもあった。

 そこで着目されたのが、携帯電話を使った盗聴だ。2000年代初頭から携帯電話が本格的に普及し始めると、それに伴って携帯電話を狙った盗聴プログラムが出現した。携帯電話は、電波を使って通信するといった性質を持っているため、必ずしもターゲットの近くにいる必要もなく、世界中どこからでもアクセスできてしまうのが怖いところ。

 さらに近年は、手軽に導入できるアプリによって端末を制御するiPhoneやAndroidなどのスマートフォンが普及したことで被害は増加の一途を辿っている。

◆ASKA氏が被害を訴えたと言われる「Flexispy.A」「SpyPhone」とは?

 2014年、覚せい剤取締法違反で逮捕されたASKA氏が書いたと噂されるブログでも、本人が盗聴被害に遭っていたと主張。その内容は、自身の携帯電話に「Flexispy.A」、「SpyPhone」と呼ばれるモバイルマルウェアを仕掛けられ、通話の内容が漏れたというものだ。

 これらは、実在するプログラムで、通話やメールの内容を自動的にサーバへ送信するといった脅威を持つ。そして、どちらも端末の所有者はインストールされていることすら分からず、さらに気が付いたとしても仕込んだ人物が設定したパスワードを入力しないとアンインストールできないため、とても厄介な代物だ。また、後者の「SpyPhone」は、端末を切っておいてもマイク機能が利用できるためバッテリーを取り外すしか、盗聴を防止する手段がない。

 しかし、だからといってASKA氏のブログで主張されていたように、このアプリの被害に遭っていたかは疑問が残る。なぜなら、この2つのアプリは海外でシェアを持っていた「Symbian OS」で動作するものなのだ。残念ながら、現在国内で普及しているiPhone やAndroid搭載のスマートフォンで感染することはない。

◆iPhoneやAndroidをターゲットにした悪徳アプリも続々登場している

 現在、スマートフォンは、iOSを搭載したiPhoneとAndroid搭載の端末が圧倒的多数を占めている。OSが普及するということは、それだけ悪意を持ったユーザーからの標的になってしまうことになる。

 しかも、これらのOSはストアからアプリをダウンロードする仕組みを持っているため、簡単に仕込むことができてしまう。他のアプリに偽装したり、忍ばせたりする手段で、持ち主が知らない間に導入されてしまう恐れもある。

 ストアで入手可能なアプリでも「SPYERA」といった類のものを導入すれば、単純に通話やメールの内容を盗み見るだけでなく、GPSを使って位置情報を取得できるほか、カメラ機能を使って周辺の画像や映像を取得することが可能。