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●Watsonはデベロッパーのもの、4つのAPIを紹介
米IBMが米ラスベガスで開催中のクラウド/モバイルカンファレンス「InterConnect 2016」の会期2日目となる2月23日に行われたゼネラルセッションでは、「IT Transformation」をテーマに、IBMクラウドにおける統合的なAPI戦略とともに、IoTやデータ活用、セキュリティなどの取り組みについて言及した。

最初に登壇したのは、初日のゼネラルセッションと同様に、IBMの顧客だ。WPP CoretechのPrincipal Solutions & Enterprise ArchitectであるMark Keller氏は、「映像編集や映像検索、管理などには多くの時間とリソースを必要とする。そうした課題を、オブジェクトストレージによって解決することができた。これはIBMが買収したCleversafeによるものであり、今後の進化に期待している」と述べた。

IBMはCleversafe社のテクノロジーとIBMクラウドを組み合わせ、オブジェクト・ベースのストレージ・サービス「IBM Cloud Object Storage」を発表している。

このゼネラルセッションでは、米IBMの各部門のトップが登壇する一方で、顧客が登壇して実際の事例を紹介すると内容となった。顧客中心のカンファレンスという今回の特徴を表現するセッションになったと言えよう。

米IBM IBM Systems担当シニアバイスプレジデントのTom Rosamilia氏は、「新たな技術は受け入れなくてはならない。そして、多くの企業が破壊的なビジネスモデルも、受け入れなくてはならない環境にある」と切り出した。

「ハイブリッドクラウドは、すべての企業が避けては通れないものになるが、IBMは、ハイブリッドクラウドに最もコミットしている企業である。ハイブリッドクラウドは、オンプレミスとクラウドを行ったり、来たりできるほか、一貫性を持ちながらも、柔軟な環境を実現できる。そして、ハイブリッドクラウドを実現するということは、エコシステムに対してAPIを解放することでもある」などと述べ、ハイブリッドクラウドにおける同社の強みを強調。

さらに、インテグレーション、データ、オペレーションという3つの観点から、具体的なユーザー事例を示し、IBMクラウドを活用して得られた意思決定の迅速化、コスト削減、レスポンスタイムの高速化などの成果を説明した。

続けて、米IBM IBM Watson担当ゼネラルマネージャーのDevid Kenny氏は、「Watsonは、デベロッパーのためのものである。ぜひ、これを活用してもらいたい」とし、今回のInterConnectで発表した4つのWatson APIについて説明した。

Tone Analyzerは、言葉の裏にあるトーンを理解するものであり、オンラインデーティングサービスのConnectidyでの活用事例を示しながら、「書いたものを意図した通りに、Watsonが理解できる機能になる」とした。また、EXPRESSIVE TEXT TO SPEECHは、「表現豊かで、感情を持ったスピーチが可能になり、相手にニュアンスを伝えることができる機能」とし、EMOTION ANALYSISは、「相手の怒りや嫌悪感、喜びなど、どういう気持ちでそれを語っているのかということを、Watsonが理解することができる」という。そして、VISUAL RECOGNITIONは、「最も大きな進化を遂げた技術であり、静止画、動画を問わず、画像をピクセル単位に分析して、過去の映像と比較して、どんな画像かを判断することができるもの。野球のシーンなのか、クリケットのシーンなのかも判別できる」とした。

続けて、米IBM IBM Analytics Platform Services and Cloud Data Services ゼネラルマネージャーのDerek Schoettle氏は、同社が打ち出しているOpen for Dataについて説明。オープンソースのデータを活用することで、アプリの活用や意思決定のスピードを高めることができ、迅速な革新へとつなげられることなどを示した。さらに、IBMとして、20以上のデータアナリティクスサービスを提供していることなどにも言及。Dimagiでのデータ活用事例や、IBMが買収したThe Weather Companyにおいて、ビッグデータとアナリティクスを活用することで、天気予報の予測精度を高めている事例などを紹介した。

●IoT、セキュリティの観点からWatsonについて説明
米IBMのWatson Internet of Things, Commerce and Education ゼネラルマネージャーのHarriet Green氏は、IoTへの取り組みについて説明。全世界で290億のセンサーが使われることや、そこから収集されるデータのうち、9割が不要なものであり、さらに残ったデータのうち、3分の2が翌日には意味を持たないデータになることを示した。

「だが、こうしたデータを活用することが、ビジネスのやり方を劇的に変えることになる。このワークロードへの対応は、Watsonにしか対応できないものである。IoTによって、11兆ドルの経済効果が期待されており、自動車、電機、通信、金融など、ありとあらゆる業界を破壊することになるだろう。WatsonとIoTを組み合わせることで、コグニティブIoTが実現できる。WatsonのAPIを活用することで、アプリを開発し、Watson IoTプラットフォームを生かしてほしい」(Green氏)

また、IBMでは、IoT分野において、750の特許を持っていることや、4000以上のIoTクライアントに対応、1700社以上のIoTパートナーがあることなどを示してみせた。

IoTに関しては、シーメンスによるインテリジェントビルディングでの活用実績や、KONAによるエレベータ、エスカレータにおける効率的な人の移動をサポートする新たなビジネスモデルの提案などについて触れた。

米IBMのCloud Integration担当ゼネラルマネージャーのMarie Wieck氏は、「エンタープライズ企業の約80%がハイブリッドクラウドを活用している。また、われわれはソフトウェアすべてをクラウド対応としたことで、IBMのハイブリッドクラウドは選択肢が豊富であり、一貫性を持ち、柔軟性を持つことができた。さらに、今回発表したVMwareとの協業によって、選択肢を広げ、柔軟性を高めることができ、環境の最適化が実現される。これらのサービスを通じて、既存のエンタープライズシステムとクラウドをつなげた新たなビジネスモデルを提供することができる。それは、ハイブリッドクラウドへの道筋を加速することにつながる」などと語った。

ここでは、API Connectのデモストレーションも行い、APIの作成を自動化および簡素化できる様子を示した。そのほか、API Connect、WebSphere Connect、z/OS Connect、Message Connect、App Connectといった新たな発表したIBM Cloud Connectorsの提供についても触れた。

最後のテーマは、セキュリティである。ここでは、米IBMのIBM Security マーケティング兼ストラテジー担当バイスプレジデントのCaleb Barlow氏が説明にあたった。

Barlow氏は、サイバー犯罪の現状や、それを下支えするダークウェブの状況などについて触れながら、「クレジットカード番号は1ドルで取引されるが、個人の医療情報は15ドル、社会保障番号は15ドルで取引が行われる。これらの情報は変化することがないからだ」などと述べた。

また、「IBMには現在、7300人のセキュリティアナリストがいる。これらのうち、1000人がこの1年間に増えた。今後、サイバー犯罪に対抗するには、コグニティブが必要である。コグニティブは、セキュリティに力を与えることができる。IBMでは、約20年間にわたって、700TBの脅威情報を蓄積しており、無償で提供している。犯罪者たちは、組織で動いている。われわれも協力して対抗していかなくてはならない。そのために、情報をシェアし、ソリューションの一部として活用してほしい」などと語った。

(大河原克行)