中国メディアの環球網によると、広州・深セン・香港を結ぶ広深港高速鉄道の建設について、香港の民主派政党の「新民主同盟」から、中国大陸から兵員や武器を運ぶための軍事鉄道としての側面があるのではとの指摘が出された。同路線の緊急停車場が、解放軍駐屯地の横にあるという。(イメージ写真提供:(C)jamesh77/123RF.COM)

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 中国メディアの環球網によると、広州・深セン・香港を結ぶ広深港高速鉄道の建設について、香港の民主派政党の「新民主同盟」から、中国大陸から兵員や武器を運ぶための軍事鉄道としての側面があるのではとの指摘が出された。同路線の緊急停車場が、解放軍駐屯地の横にあるという。

 香港で、香港の独自性を重視する「民主派勢力」の間では、広東省と香港を結ぶ高速鉄道の建設に反対する意見が強い。大きな理由が、同路線では、従来はそれぞれの当局が「入境/出境審査」を行っていた方式を簡略化し、「1回の審査」ですませる方式が考えられているからだ。民主は勢力は「一地両検」が実現すれば、大陸の香港に対する干渉がさらに高まると認識している。

 「民主派勢力」は、大型インフラ建設関連で予算超過が目に余ることも問題視している。香港立法会(香港議会)は広深港高速鉄道について香港政府としての予算拠出を決議したが、その後、建設プロジェクトが延期や予算超過を繰り返したことで、追加予算が可決されていない。

 25日の追加予算についての審議中には、新民主同盟から、同路線について「軍事鉄道としての側面があるのでは」との質問が出た。臨時停車場の建設予定地が、中国人民解放軍の香港駐屯地のひとつである石崗軍営の、狭い道路をはさんだ対面にあるという。

 さらに、中国大陸部では軍部が高速鉄道を使うことが定着しているため、香港に通じる路線建設も「兵力や武器を香港に送り込むため」の可能性が高いという。

 香港では2014年にも、同路線について香港政府が作成した文書に「戦略的地位」との文言があったことから、「軍事路線では」との声が出た。

 香港政府・運輸及房屋局(運輸建設局)の張炳良局長は同問題について「高速鉄道は民用鉄道だ。石崗には駐屯地があるが、高速鉄道は将来、石崗に車両基地を建設する計画がある。両者は無関係だ」と説明した。

 香港政府はこれまでに、同高速鉄道路線建設の香港内部分について、650億香港ドル(約9463億3500万円円)の予算を投じた。しかし3月末までにはすべてを使い切ることになり、議会での可決がなければ、建設工事は中断するという。

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◆解説◆
 新民主同盟は、大陸と香港を結ぶ高速鉄道路線の建設阻止を目指しており、そのためにあらゆる「材料」を利用するとみられる。ただし、鉄道などの交通機関の建設が軍事目的も兼ねていることは、むしろ世界の常識だ。鉄道などについて「有事の際は、軍事利用優先」といった鉄道観を持つ人の少ない日本は、むしろ例外的だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)jamesh77/123RF.COM)