重大な任務を背負うジェイミー・ジョセフ氏の手腕とは!? ※写真と本文は関係ありません

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次のW杯こそベスト8進出なるか!? 

昨秋、旋風を巻き起こしたラグビー日本代表が新たな一歩を踏み出した。名将エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)の後任に決まったのはニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフ氏(46歳)。重大な任務を背負う新指揮官の手腕とは!?

■世界最高峰リーグを制した名将

ラグビー日本代表の新ヘッドコーチ(HC)がようやく決定した。世界最高峰リーグ、スーパーラグビー(SR)のハイランダーズを率いるジェイミー・ジョセフである。

46歳のニュージーランド人。オールブラックス(ニュージーランド代表)の一員として1995年W杯に出場し、その後、サニックス(現・宗像[むなかた]サニックス)や日本代表でもプレーしている。当時のルールでは3年以上居住すれば、すでに代表歴のある選手でも、異なる国で代表入りすることも可能だったのだ。

ジョセフの現役時代を『ラグビーマガジン』編集長の田村一博氏がふり返る。

「FW第3列の選手で、来日してからのポジションは主にナンバーエイト。当時の日本には彼のようにパワーと突進力のあるタイプがおらず、サニックスでも代表でも、その存在感は突出していました」

日本で5シーズンを過ごした後、帰国。2011年にハイランダーズのHCとなり、昨季はリーグ優勝した。

「タレントに乏しいチームなので、若手を積極的に起用し、我慢して使い続けました。その結果、シーズン途中からどんどん勢いが出てきて、ついにはプレーオフまで制してしまったのです。ハイランダーズでプレーしている日本代表の田中史朗(ふみあき)によれば、言葉に説得力があり、チームを団結させる術(すべ)に長(た)けている指導者なのだそうです」(田村氏)

限られた戦力で世界最高峰のSRを制したのだから、ワールドクラスの名将であることは間違いないようだ。

では、ジョセフはジャパンのHCとして、どんな戦い方を披露してくれそうなのか? ラグビージャーナリストの村上晃一氏はこう予想する。

「前任者エディー・ジョーンズのラグビーは、選手自身が判断する要素があまり多くなく、決まったパターンで何度も何度も攻め続ける戦法が主体でした。だから、トライを取るまでに時間がかかる。

しかしジョセフはニュージーランド人らしく、相手の出方に反応して動いていくスタイル。ある程度、基本の型はありますが、敵からボールを奪った瞬間、相手チームの守りが手薄なスペースを個人個人の判断で見つけ出し、突いていく。

そのアタックに周囲の選手がこれまた個々の判断で絡んでいくので、うまく決まれば簡単にトライが取れます。エディーの時代より自由度の高いラグビーになるでしょうね。ただ、その分、選手ひとりひとりの判断力やスキルが非常に求められます。似たチームを日本で探せば、パナソニックでしょうか」

ただし、エディー時代から継続されるものもある。

「昨年のW杯で大健闘したとはいえ、日本は依然、強豪国相手にパワーでは対抗できません。だから誰が指揮官になろうと、スピーディなラグビーを標榜(ひょうぼう)することは変わらないはずです」(村上氏)

■ジョセフ不在の6月に最大の難局が!

エディージャパンといえば、長期にわたる代表合宿で行なったハードトレーニングがチームづくりの基礎となっていた。だが、今季から日本のサンウルブズがSRに参加し、2月から7月まで選手が拘束される。サンウルブズには代表クラスが多く在籍するものの、指揮官はジョセフではなく、マーク・ハメットという別人。同じニュージーランド人であり、ふたりで連携を取り合っていくとはいえ、その戦い方は代表と全く同じというわけにはいかない。

しかも、リーチ・マイケル(チーフス)や五郎丸歩(レッズ)といった主力の何人かはSRシーズン中、海外の他チームでプレーしているのだ。日本代表としてのトレーニング期間がエディー時代より短くなってしまうことに問題はないのだろうか。

「サンウルブズや海外の他チームで世界レベルの戦いや練習を日常的に経験すれば、個々の代表選手は確実に成長します。ジョセフのラグビーはエディー時代よりひとりひとりの対応力が求められるわけですから、SRなどでプレーしている期間は代表合宿に匹敵するどころか、むしろ、より貴重な時間を過ごしているのです」(村上氏)

選手の強化手段に関しては心配はなさそう。その一方、ジョセフに関しては、W杯での指揮経験がないことを不安視する声もある。

「確かに指揮経験があるほうがいいのでしょうが、逆にジョセフは選手としてW杯を経験している強みがある。しかも日本協会は現在、ハイランダーズでジョセフのアシスタントコーチを務めているトニー・ブラウンとスコット・マクラウドをジャパンでも同じようにジョセフの下につけようと画策しているといわれています。

彼らもかつてオールブラックスの一員であり、ともに日本リーグ(当時)で活躍した経験もあるので、ジョセフ同様、日本ラグビーを熟知している。このふたりが入閣すれば、世界に誇れる指導陣が出来上がりますよ」(前出・田村氏)

どうやらジョセフジャパンは、魅力的なチームになれる可能性大のようだ。昨年以来のラグビーブームもまだまだ続きそう?

「ひとつ心配なのは、6月に日本で行なわれるスコットランド戦をHC不在の状態で迎えざるを得ないこと。まだSRのシーズン中なので、ジョセフの来日は極めて困難なのです。おそらく臨時のHC代行を据え、短い代表合宿を経て、ほぼぶっつけ本番で試合に臨むはず。もし新生ジャパンの船出が大敗スタートにでもなろうものなら、せっかくのブームに水を差しかねません」(前出・村上氏)

6月の難局を新生ジャパンはいかに乗り切るのか? もしかすると、日本ラグビーの未来がかかった戦いなのかもしれない。