クアルコムのフェムトセル向けSoCチップのスモールセル向け展開を紹介するパネル

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 クアルコムが「MWC 2016」(スペイン・バルセロナ)に出展するブースでは、スモールセルやLTEの次世代通信技術に関連するトピックスが主にハイライトされている。

 ブースの中核ではネットワークのキャパシティを上げ、密度の高いネットワークを構築するためのスモールセル技術に関連する取り組みにスポットが当てられ、クアルコムが展開するスモールセル向けのSoCである「FSM99xx」シリーズを組み込んだ端末が数多く並ぶ。Wi-Fiアクセスポイントに3.5GHz帯LTE通信の機能を後付けで加えてスモールセル化できるという、USB外付モジュールのプロトタイプもユニークな展示のひとつだ。

 SpiderCloud社からはもクアルコムの「FSM99xx」シリーズのSoCを搭載し、免許不要の周波数帯域で携帯電話向けのLTE方式による通信を行うアンライセンス周波数帯について、LTE-UとLTE-LAAの両方への対応を組み込んだアグリゲーションをワンボックスで可能にするスモールセル通信端末も開発されている。スモールセル端末におけるアンライセンス周波数帯の活用にも目が向けられてきており、今年からはより多くの製品が各社から登場することになりそうだ。

 Snapdragon 820に統合されるLTEモデムチップ「X12」ではすでにLTE-Uを機能として取り込んでおり、これに5GHz対応のRFICを合わせて組み込むことで、端末メーカーはLTEのライセンスド周波数とアンライセンス周波数の帯域を組み合わせたキャリアアグリゲーション対応をフィーチャーとして盛り込むことが可能になる。ブースでは試作された端末による、キャリアアグリゲーション伝送のライブストリーミングが紹介されていた。

 アンライセンス周波数帯だけでLTE通信を行う「MulteFire」については、昨年の12月段階でノキアとクアルコムがMulteFire Allianceを設立。ボードメンバーとしてエリクソンとインテルも加わり技術訴求を積極的に展開していくための足場が固まりつつある。団体では現在無線LTE通信を中心に使われている5GHz帯について、LTE通信も活用することで効率の良い運用を呼びかけるとともに、現在ライセンスド周波数帯を持たない事業者にもLTE通信のベネフィットを活かしたビジネスモデルが構築できるメリットをアピールしていく。

 アンライセンス周波数帯については、通常の5Hz帯の無線LAN通信との干渉を発生させることなく、反対にデータ伝送効率が良く安定性も高いLTE通信と共存できることが5GHz帯ネットワーク全体のスループット向上にも好影響を与えるという検証についてもパネルで詳しく紹介されている。

 IoT向けのLTEモデムチップセットについては、電源利用効率を上げるための「Power Save Mode (PSM)」にスポットを当てる。1キロバイト程度のデータを1日に1回、十数秒ほど起動してネットワーク送信するだけで事足りるようなIoTデバイスに組み込んだ場合、単3電池2本でおよそ10年以上のバッテリーライフが実現できるという。

 また移動物体のトラッキングなどを行うIoT機器についても、電源効率を上げられる「Extended I-DRX」の技術規格が現在標準化に向けて動いている。クアルコムが開発を進めるモデムチップでは40分に1回のデータ通信を行うことで、ネットワークからのトラッキングにも対応しながら、約数か月の電池寿命を実現できるようになるという。

 年内に始まるとされている、LTEの上り方向の通信を高速化するためのキャリアアグリゲーション技術や通信の変調方式を16QAMから64QAMに変えて一時的に送れるデータ量を大きくする技術が出展されている。加えてクアルコムでは上り回線のデータを圧縮して伝送する「Uplink Data Compression(UDP)」の技術についても訴求。最大50%の圧縮率を実現することで、約2倍の伝送効率アップにつながるというものだ。