日本では「あまり考えられない」事態が発生した。工事現場の作業員らが「工事の安全や順調な進行」を祈る行事をしたところ、全国から「許されるのか?」との疑問の声が殺到した。工事の元請け会社は、現場の作業隊が「勝手にやった」と釈明した。許されないことなので「叱責と教育を行った」という。中国新聞社が報じた。(写真は京華時報が24日に同件を微博で紹介した画面キャプチャー)

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 日本では「あまり考えられない」事態が発生した。工事現場の作業員らが「工事の安全や順調な進行」を祈る行事をしたところ、全国から「許されるのか?」との疑問の声が殺到した。工事の元請け会社は、現場の作業隊が「勝手にやった」と釈明した。許されないことなので「叱責と教育を行った」という。中国新聞社が報じた。

 中国共産党の宗教に対する方針は「合法的で社会に悪影響を与えないならば認める」だ。しかし、共産主義と宗教は両立しないとして、党員が信者になったり宗教行事を行うことは、厳しく禁止している(解説参照)。中央政府と地方政府には「政教分離」の原則がある。政府が絡む建物の建設で「これは風水を配慮したのでは」との声が出る場合があるが、当局は必ず強く否定する。

 問題とされたのは、河南省洛陽市で跨洛河大橋で行われた「着工式」だ。北京市メディアの京華時報が、中国版ツイッターである微博(ウェイボー)で発表して、多くの人が関心を寄せた。寄せられたコメントでは、「安全を願うのは当たり前だ」との意見が多いが「封建的迷信だ」、「当局は許したのか」といった書き込みもある。

 特に、同建設が洛陽市の重点プロジェクトであることが注目された。市政府あるいは共産党が許したとすれば、異例中の異例だ。

 同工事の元請け会社は洛陽市政建設集団だ。同集団は2008年に市政府の工程管理処(工事管理局)を企業化したもので、実際には市政府の建設事業部門と考えてよい。市のインフラ建設を専門に請け負っている。

 洛陽市政建設集団は「政府絡みの工事現場で宗教行為」があったことについて、「建設作業員の多くは南部から来た」と説明。出身地の習慣で祈祷師に依頼して、建築行為の安全・平和・順調を祈ってもらったのだという。

 同集団は祈祷の行事について「作業隊が勝手にやった」と主張。許されないことなので「叱責と教育」を行ったという。さらに、祈祷の行事は「あまりにも軽率、あまりにも妥当でない」ために、今後はなんらかの行事を行いたい場合には、勝手には行わず、事前に相談するよう言い渡したという。

 日本では、公共事業の建設工事でも、神式で地鎮祭や着工式を行うことが普通だ。宗教的理由で出席できないとする人もいるが、儀式そのものは裁判でも「世上の慣例にすぎない」として、信教の自由を定めた憲法第20条に抵触しないと認められている。

 洛陽市政建設集団は過敏に反応したが、「共産党の上層部から叱責させることを恐れて、現場の作業員らを叱責した」と理解できる。

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◆解説◆
 中国当局と宗教の関係で問題になるのは、「合法的で社会に悪影響を与えない」かどうかを当局側が一方的に決めることと言える。普通選挙が実施されていないので、民衆の考えが法令などルールづくりに直接生かされるシステムが存在せず、司法も共産党の支配下にある。そのため、宗教問題についても、当局の考え次第で「厳しく規制」する場合がある。チベットや新疆ウイグル自治区で、当局への反発によるテロを含む暴力事件が散発する大きな原因と言える。

 一方で、現在では各地の地元当局が儒教の祭儀に積極的にかかわることも多くなった。「共産主義と宗教は両立しない」との主張との兼ね合いは不明。ただ「儒教」を利用して、観光客を呼び込もうという姿勢は明確だ。

 習近平政権は複数回にわたって、党員が宗教を信じたり宗教行為に参加することを禁止する通達を出している。(編集担当:如月隼人)(写真は京華時報が24日に同件を微博で紹介した画面キャプチャー)