「松阪牛」や「神戸牛」、「夕張メロン」といった食品の「地域ブランド」化が盛んに行われている日本。成功すればその名前を聞いただけで消費者に高級感を抱かせることができるが、基準を明確にしておかないと国内外で偽装品との戦いを強いられることになる。(イメージ写真提供:123RF) 

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 「松阪牛」や「神戸牛」、「夕張メロン」といった食品の「地域ブランド」化が盛んに行われている日本。「地域ブランド」化は、成功すればその名前を聞いただけで消費者に高級感を抱かせることができるが、基準を明確にしておかないと国内外で偽装品との戦いを強いられることになる。

 中国において「松坂牛」や「神戸牛」は、今やメディアやネット上でのクチコミによって大変な評判となっている。しかし、中国国内で勝手に「神戸ビーフ」を名乗る商品が流通したり、日本国内でも数年前に中国人向けに「松坂牛」の偽装肉を提供した焼肉店が問題になったりと、その評判を揺るがせる事象が後を絶たない。中国メディア・環球網は16日「日本の松坂牛、神戸牛は本当にそれほどすごいものなのか」という評論記事を掲載し、問題提起している。

 記事は、「松坂牛」や「神戸牛」といったブランド化は当初、フランスのシャンパン、パルマ産ハムなどのような欧米の経験を参考に実施したものであったが、その中身は欧米のものとは異なると説明。昨年農林水産省が開始した「地理的表示保護制度」(GI)のもとで認証された「神戸牛」や「夕張メロン」など7つのブランドについて、「品質基準を満たしさえすれば、地域内の生産者は誰でもブランド名を使用できる」とする一方、欧州では毎年第三者機関が厳しい検査を実施するのに対して、日本の制度は「一度登録できてしまえば、あとは生産者が年に一度報告するだけで維持できる」とした。

 また、この制度の適用範囲が日本国内に限られるため「海外での商標乱用を撲滅することは全くできない」とも指摘。「地理的表示保護制度」は「単に、国が主導する自己陶酔、自画自賛のものであり、その目的は特産品をたくさん輸出するための『トリック』作りであって、決して『特産品の保護』ではないのだ」と評した。

 「地理的表示保護制度」に関する農林水産省の資料では、「海外の同制度導入国において、わが国の地域ブランド不正使用の抑止効果が期待」されると明記されている。つまりは、同様の制度が導入されていない国においては、記事が指摘するとおり「商標乱用の撲滅」は難しいということになる。

 なお、中国では1994年に商標法が制定され、2005年に「地理的表示品質保護規定」によってGI制度が構築され、さらに08年には「農産品地理的表示管理規則」が制定された。これら3つがいずれも地理的表示制度に相当するもので、管轄当局がそれぞれ異なっていることから「重複管理」による複雑さ、効率の悪さ指摘も出ている。日本版GIの効果を中国でも生かすには、中国国内での制度を理解したうえで慎重かつ入念な準備が必要とされそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)