スマートフォンを使って動画を撮影する――プロが教えるスマホ撮影の実践テクニック!

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スマートフォンは今や動画視聴デバイスとしてだけでなく、動画制作用のビデオカメラとして十分に機能する性能を備えています。最近では4K動画を撮影できる機種も登場し、画質面、性能面において、商業利用も可能なほどのクオリティの動画が撮影できるのです。

そこで、本記事ではスマートフォンを使った基本的な撮影方法やコツを解説するとともに、初めてでも取り組みやすい企業による活用シーンをご紹介します。

意外と大切な「縦撮り」と「横撮り」の選択

スマートフォンでは、2種類の動画撮影方法があります。スマホを立てた状態で撮影する「縦撮り」と、横に寝かした状態で撮影する「横撮り」です。
従来、映像は「ヨコ型」が基本でしたが、最近は目的に応じて敢えて縦撮りをするケースも増えています(参考記事)。モバイルデバイスでの動画視聴や、サイネージなどのタテ型フォーマットでの動画配信を前提とする場合は、縦撮りは検討対象となり得ます。
一方、ウェブサイト内に掲載したり、PCで視聴する場合、あるいは動画素材の1つとして撮影するのであれば、横撮りの方が汎用性が高いと言えるでしょう。用途や配信先を明確にした上で、横撮りか縦撮りかを最初に決めましょう。

なお、スマートフォン撮影においては、「縦撮りしたはずなのに、動画がヨコ型になっていた!」という失敗がしばしば起こりがちです。この原因は、録画ボタンを押した時点でのスマホの方向で動画が撮影されることにあります。例えば、スマホを縦位置の状態で録画ボタンを押すと、その後スマホを横位置に傾けても、撮影される動画は「縦撮り」のままになってしまいます。逆も同じです。 スマホで動画を撮影するときは、撮りたいポジションに定めてから録画ボタンを押すようにしましょう。

スマートフォン動画撮影でおさえておくべき5つのコツ

スマートフォンによる動画撮影は、専用のビデオカメラの操作性とは異なるため、設定やカメラワークに慣れる必要があります。基本的な設定方法と撮影テクニックをご紹介します。

1. ホワイトバランスを設定する

屋内照明の光と太陽光では、色温度が異なります。人間の目は自動的に色温度を補正する機能を持っていますが、カメラを使用する場合、色温度の補正設定が必要になります。それが、ホワイトバランスです。ホワイトバランスを取ることで、撮影の対象物が見た目どおりの姿でカメラに収められます。
屋内撮影、屋外撮影問わず、通常は「オート」設定のままで構いません。設定を変えるのは、屋外の光と屋内の光が交じり合った場所、たとえば窓際などで撮影するときです。撮影する対象物に当たっている光の種類に合わせて(蛍光灯、外光など)ホワイトバランスを設定しましょう。

2. 解像度を設定する

スマートフォンの機種によってはカメラ解像度の設定ができるようになっています。高画質なフルHD(1920×1080ドット)で撮影する場合、データ量が非常に大きくなります。そのため、十分な保存容量があるかどうかを事前に確かめる必要があります。
一方、制作した動画をYouTubeなどにアップロードすることを目的とした場合は、VGA(640×480ドット)の解像度でも十分間に合います。作成する動画をどのような目的で使うかということを考慮して、解像度を決めましょう。

3. 撮影時のスマートフォンの持ち方

しっかりホールドするところから始めます。縦撮りも横撮りも、普段スマホを使用するときと同じように片手で持ち、さらにもう一方の手を本体に添えます。通常は左手でホールドし、右手で録画ボタンなどを操作します。 大切なのは、撮影時には両脇をしっかり締めてカメラを固定するということです。自分の身体を三脚にするイメージで、脇を閉めて腕をぶらつかせないことで、余計な手ブレが防げます。

画像参照元:https://recombu.com/mobile/article/how-to-shoot-better-video-with-your-smartphone

4. パーンの仕方

カメラをある地点から別の地点まで振ることを「PAN(パーン)」といいます。横に振るだけではなく、上下、あるいは横から下(横から上)という具合に、撮影ポイントを捻りながら移動撮影する特殊なパーンもあります。 横にカメラを振ることを「パーン」と呼び、上に振ることを「パーン・アップ(チルトアップとも言う)」、下に振ることを「パーン・ダウン(チルトダウン)」と呼びます。
パーンは、撮影場所やストーリーの状況説明に役立つカメラワークですが、使いすぎると作品全体のリズムを失わせる欠点もあります。特に初心者は、カメラを忙しく動かしたくなるものです。しかし、あまり動かし過ぎると、出来上がった動画が安っぽく見えてしまいます。パーンは、ここぞというときに使った方が効果的であることを覚えておきましょう。
具体的なパーンの方法ですが、両脇を締めた基本姿勢のまま、カメラを振りたい方向に「身体そのもの」を動かして撮影します。手を動かすのではなく、手は身体に固定したまま、撮影したい方向に身体ごと動かすのです。こうすることで、スムーズなパーンが可能になります。

5. 撮影サイズについて

人物を例に取ります。人物の足先から頭までを画面に入れることを「フル(ショット)」、腰から上を撮ることを「ウェストアップ(ショット)」、胸から上のサイズを「バストアップ(ショット)」、顔の表情に焦点を当てることを「クローズアップ(ショット)」といいます。
人の会話やトークを撮るときは、バストアップを基本にして、クローズアップを間にはさむと、その人物の内面に入り込んだ画作りができます。特定の人物を群衆の中からフィーチャーする場合には、群衆全体のショット(グループショット)から、人物のフルショットにカットインし、さらにクローズアップを狙うと、特定の人物を印象づける映像になります。
撮影時には、なるべく様々なサイズの素材を撮ることを心掛けましょう。人物ばかりでなく周囲の情景も、さまざまな角度から撮影しておくと、編集のときに便利です。

専用アプリを使えばストップモーションアニメも簡単に

InstagramやVineなどのマイクロ動画の普及により、目にすることが多くなったストップモーションアニメ(コマ撮り)も、専用アプリを使えば簡単に制作することができます。

スマートフォン用のストップモーションアニメ制作アプリはGooglePlayストアやAppStoreに多数公開されていますので、自身が使いやすいものを見つけてください。

・Android用の主なアプリ
Clayframes-stopmotion Stop-Motion

・iOS用の主なアプリ
ストップモーション-アニメエディターPRO トイビデオ ストップモーションスタジオ

これらのアプリを使うと、1コマずつ撮影した写真を自動的につなげてアニメーションに仕上げてくれます。数秒程度のストップモーションアニメであれば、1〜2時間で作ることができるでしょう。注意点としては、三脚でスマホを固定することと、照度に気をつけること。この2点さえ押さえておけば、あとはアイデア次第でユニークなストップモーションアニメを制作できます。

スマホ動画の活用シーンはいろいろ

スマートフォンの最大の利点は、日常的に動画撮影ができることです。大掛かりな準備も必要なく、いつでも自社の活動や商品を撮影できるという機動性を生かし、積極的に活用したいものです。
最後に、初めてのスマホ動画でも取り組みやすい動画施策を3つご紹介しましょう。

「動画カタログ」

「商品説明動画」は購買を促す上で有効な施策ですが、何百、何千という商品を扱っている場合、そのすべての動画を制作会社に依頼すると大きなコストが発生する可能性があります。とにかく数を揃えたい場合は、スマートフォンによる撮影をうまく取り入れましょう。
文具・家具の販売を手掛けるプラスジョインテックスカンパニーでは、自社の取り扱う1400種類もの商品を、「文具・日用品」「学校用品」「介護・福祉用品」「オフィス家具」「サービス」の5つのカテゴリーに分け、「動画カタログ」として公開しています。数十秒の短い動画ながら、商品の特徴や使い方がよく分かる作りになっており、購入促進施策としても、顧客サポートツールとしても機能しています。

画像参照元:http://jtxtv.jp/video/stationery/supplies/

「社員研修動画」

社内で使われる社員研修動画(参考記事)は、広告のようなクオリティや凝った演出は求められません。それよりも、当事者だからこその視点で、実用性の高い情報が映し出されていれば、スマホ動画でも十分だと言えるでしょう。例えばベテラン社員の技能をスマホ動画でコンテンツ化すれば、新人研修の教材として活用できます。

「社内報」

社内コミュニケーション用の動画(参考記事)も取り組みやすい施策です。社員のインタビューや社内イベントの記録なども、今回ご紹介した撮影のコツさえおさえれば、動画コンテンツとして手軽に制作できます。

より良い動画を撮影するには、とにかく経験を積むことです。今後はさらに動画が日常的な存在になり、いつでも上手に動画を撮影できるスキルが求められるようになっていくかもしれません。今からスマートフォンの撮影機能に慣れ、ビデオカメラとしてフル活用してみてください。

スマートフォンで撮影した動画素材を動画コンテンツに仕上げるには、テンプレート型動画制作サービス「Fast Video」が便利です。)