22日、福島県の内堀雅雄知事が、日本記者クラブで会見。最大の課題は「福島第一原発の廃炉」とした上で、高い放射線レベルの炉の中では、ロボットによる作業でさえも困難と指摘、「世界の英知を結集して取り組んでもらいたい」と訴えた。

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2016年2月22日、福島県の内堀雅雄知事が、東日本大震災から間もなく5年となるのを前に、日本記者クラブで会見した。「福島第一原発事故による放射能漏れの被害が地域に甚大なダメージを与えた」と指摘。最大の課題は「福島第一原発の廃炉」とした上で、高い放射線レベルの炉の中では、ロボットによる作業でさえも困難であり、「世界の英知を結集して取り組んでもらいたい」と訴えた。さらに、「風力など再生可能エネルギー開発に注力し、2040年ごろには、県内電力需要の100%を賄うことを目標にしている」と強調とした。発言要旨は次の通り。

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東日本大震災で福島県での死者行方不明者は3844人。地震、津波の被害はもちろん大きいが、福島第一原発事故による放射能漏れの被害は地域に甚大なダメージを与えた。避難区域は953平方キロと福島県の面積の7%にも及ぶ。避難者は16年1月現在で10万人弱。正月を自分の家で過ごせない状況が5年も続いているのは辛い。県の人口も震災前の202万から11万人も減少し、192万人となった。短期間にこれほど大きく減った例は他にない。現在仮設住宅1万6000戸、借り上げ住宅支援1万4500戸のほか、復興公営住宅3000戸を整備中だ。

明るい話題としては、国道6号線、常磐道路が全線開通、交通インフラの縦軸が整った。福島原発が立地する双葉郡の高等学校は県内各地の8校にサテライト校として分散しているが、県立ふたば未来学園高等学校が15年4月に開校した。地域の先端医療病院「ふくしま国際医療科学センター」も16年度に完成する。県立富岡高校のバドミントン部は震災直後に猪苗代への避難を余儀なくされていたが、インターハイ優勝、アジアユース選手権優勝など輝かしい活躍を果たした。

海外での「風評」被害の除去には時間がかかる。外務省が韓国ソウルで企画した東日本大震災の復興PRイベントは、2日目になって中止となった。福島復興の絶好のPRと考えていたので残念だ。

「風評」に対しては、今の福島の現状を率直に伝えるしかないと考えている。即効薬や一瞬になくなるマジックはないので、地道に福島の現況を何度も発信する必要がある。光と影のニュースの両方を時間をかけて丁寧に伝えていく。

最大の課題は福島第一原発の廃炉だが、世界の専門家でも溶融燃料がどこにどれだけあるか分かっておらず、うまく対策が立てられない。把握するためにロボットを使ってチャレンジしているが、高い放射線レベルの炉の中では、ロボットによる作業でさえも困難。半導体は放射線に弱いので、数時間で動けなくなってしまう。もっとイノベーション技術を向上させないと現状把握もできない。日本の技術だけでなく、世界の英知を結集して取り組んでもらいたい。

県が産業振興策として積極的に取り組んでいるのは風力など再生可能エネルギー開発。2040年ごろには、県内エネルギー需要の100%を賄うことを目標にしている。また世界初の装着型介護医療ロボット「HAL」の開発製造拠点を誘致するなど、医療機器分野の集積にも取り組む。様々な事象に挑戦していけば道は開けると考えている。(八牧浩行)