潔い決断力と度量の大きい責任感を身に付ける。今日からできる2つの方法

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いつもはうまくできている仕事が、突発的なトラブルが生じたことで、失敗してしまった…。そんなとき、上司にひたすら責められたら、「不測の事態だったのに、私ばかりに責任を押し付けるの?」と、理不尽な気分になるのでは?

働く女性のアドバイザー的存在として多数の著書を執筆している有川真由美さんは、「リーダーにとっていちばん重要な仕事は、最終的な責任を取ることです」と話す。

「リーダーが責任逃れをしていると、部下は『自分に責任が回ってこないようにしよう』と積極的に仕事をしなくなり、チーム全体がやる気を失ってしまいます。まずは、“責任”と“決断”が対になっていることを認識しましょう。決断力を養うことで、責任感もともに育てることができます」(同)

次のふたつを日々の仕事の中で実践し続けると、いつかリーダーになったとき、決断力と責任感を十分に発揮できるようになるそう。
◆仕事に取り掛かる前に、“ビジネス上の最終ゴール”と“理想像”を自問する

会社の仕事には、そのすべてに“ビジネス上の最終ゴール”と、それが達成されたときの理想の状態=“理想像”がある。どんな小さな仕事でも、このふたつを考えることで、その仕事の必要性や意義が理解できる。

例えば、販売促進の企画書作成をする場合、そのビジネス上の最終ゴールは「ユーザーに自社商品の魅力を伝え、手に取ってもらうこと」や「その商品を売ることで3億円の利益を上げること」となる。そして、これを達成した様子を想像すると、「その商品を手にしたユーザーの暮らしが豊かに変わる」「ボーナスアップが見込めるので社員のみんなが活気づく」といった理想像が描ける。

「できるだけ、ビジネス上の最終ゴールと理想像は、『会社にどんな利益をもたらすか』『顧客に対してどんな貢献ができるか』といった大局的な視点で考えてみてください。そのふたつがしっかり噛み合っていて、自分のなかで納得ができれば、実行する決断力とその仕事を達成しようという責任感が自然と湧いてきます」(同)

◆仕事を達成した後、振り返って学習する

リーダーの立場では、ふだんからひとつの仕事をさまざまな視点から管理し、判断することが求められる。仕事の中でそうした力を養うためには、プロジェクトや作業の終了後に“うまくいかなった原因”と“もっとよくするための改善策”を振り返るのがおすすめ。

「大きな失敗がなかったとしても、“思ったより時間がかかった”とか、“連絡がスムーズに行かなかった”など、反省点をあぶり出して、その原因と改善策を考えましょう。これを常に実行すると、問題点と解決策を見つけ出す能力が高まるとともに、決断を下す速度を早めることにつながります」(同)

このふたつを習慣にすれば、自分に任せられた仕事に対する決断力や責任感が、着実に養われていく。その力が揺るぎないものになると、やがて一歩進んで、後輩にどんな仕事をどのように任せればいいかという決断力と、任せたことに対する責任感も生まれてくるように。リーダーにふさわしい資質も、きっと身に付くはず。

有川真由美
作家・写真家。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリーカメラマン、新聞社広告局編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性のアドバイザー的な存在として書籍や雑誌などに執筆。44か国を旅し、旅エッセイも手がける。著書は『「働く女(ひと)」の77のルール』『いつも仕事がうまくいく女の41のリスト』(以上、PHP研究所)ほか多数。