今月、国際体操連盟は、白井健三が昨年12月の豊田国際競技会で披露した床運動の「後方伸身2回宙返り3回ひねり」を「シライ3」に認定。男子では最高となるH難度の新技となった。

すると22日、テレビ朝日「報道ステーション」では「白井健三 史上初のH難度技 世界を突き放す"進化"の理由」と題し、スポーツ解説者・松岡修造氏が行ったインタビューの模様を放送。この日、保険会社の調査で「理想の(男性)上司」1位に輝いた松岡氏は「僕は僕が上司だったら嫌ですね」と苦笑いを浮かべながら、VTRを紹介した。

次々と難度の高い新技を成功させている白井は、その要因を「勇気」とし、「失敗するのが怖くて皆一個低い難度でやったりとか。試合でうまくなっていくもの。普段の練習はある程度の力しか出ない。試合で考えられないくらいの力が出たとき、いい形が出るんですよね、やっぱり」と言葉を続けた。

また強いメンタルの裏に隠された「床」や「試合」への考え方を「ご飯を食べるとかトイレに行くのと大して変わらない。自分のためにやる。やって当然」という白井は、「大して緊張もしないですし気持ちの上下もない。楽に感じますよね。ミスするほど重く捉えている」と持論を展開した。

すると白井は「修造さんはどうでした?試合に臨む時」と松岡氏に逆質問。松岡氏が「緊張しまくり」と答えると「それ、良いほうに出てました?」と質問を続け、松岡氏が「ほとんど悪いほうに出てた」と答えると、19歳は「あぁ〜」とリアクション。48歳の松岡氏は縮こまるしかなかった。

そんな白井が現在の境地に達したきっかけは、連覇を期待されながらも2位に終わった2014年の世界選手権にあるという。「同じことをやってたから負けたんだって思いました。知らないうちに満足してて、勝てるだろうって思ってしまっていた。同じ内容でも」と振り返ると、「失敗しないのが当たり前。その内容自体に目標を見失っていた。どうせ出来てしまうんで何をしたらいいんだろうって」とも――。前年と同じ演技構成で臨んだことで自らのノビシロを見出せず、「全然楽しくなくて、得意なはずの床が。案の定、負けた。上の選手だからこそもっと突き放すことが勝つための近道」などと考えが変わったという。

事実、去年の世界選手権では、G難度の「リ・ジョンソン」を決めるなど積極的に大技に挑戦、2年ぶりの世界王者に返り咲いた白井。「負けてよかった。本当に思います。多分2014年も勝っていたら2015年でどうせ負けてた」とキッパリ。そんな自身の性格を「勝ち好き」と表現すると、「負けから教わることがいっぱいある。負けが悪いものだとは思わない。ただ勝ちたい欲は人一倍強い」と話している。