志賀俊之・産業革新機構会長が、記者会見。「日本では業種ごとに多くの企業がひしめいており、過当競争が展開され、再編が進んでいない」と指摘。今後の企業経営は、従来の業種や企業の枠を超えて連携する「オープンイノベーション」が重要な鍵となる、と強調した。

写真拡大

2016年2月19日、志賀俊之・産業革新機構会長兼CEO(日産自動車副会長)が、日本記者クラブで会見した。「日本では業種ごとに多くの企業がひしめいており、過当競争が展開され、再編が進んでいない」と指摘。今後の企業経営は、従来の業種や企業の枠を超えて連携する「オープンイノベーション」が重要な鍵となる、と強調した。

【その他の写真】

同機構は国と民間が出資する官民ファンド(出資金3000億1000万円)で、ベンチャー企業の育成や企業の事業再編を通じて、日本の産業競争力を向上させることを使命としている。15年間の時限立法で2009年に発足した。発言要旨は次の通り。

日本企業は基礎技術から応用技術まですべてを自前で手掛けてきたが、世界の技術進化にキャッチアップできない時代になった。従来の業種や企業の枠を超えてチャレンジをする「オープンイノベーション」が今後の企業経営の重要な鍵となる。

大企業が優れた技術をもったベンチャーと提携したり、大学と共同開発したりする。大企業同士でも部門ごとに手をつなぐ。自前主義を脱して、他者と連携することでイノベーションを起こすという手法がオープンイノベーションだ。

日本では業種ごとに多くの企業がひしめいており、過当競争が展開され、再編が進んでいない。健康体のうちにオープンイノベーションを実現するべきである。

例えば自動車業界では、大手メーカーの下に部品メーカーが多く存在する。バッテリーメーカーだけでも10社ぐらいある。ソフトウエアに強い米グーグルやアップルが、自動車業界への進出を目指している。ハードウエアに強い既存自動車メーカーとの主導権争いが今後激化するのは避けられない。

自動車メーカーは機械工学専攻の人を採用してきたが、コンピューターサイエンスの知識が必要となる。自動車メーカーだけで勝ち抜くという発想ではダメだ。AI(人工知能)の分野も必要となった。日本の自動車メーカーが従来強かったのは、研究開発から生産まで三位一体でやってきたためだが、今ライバルは電気自動車の米テスラであり今後はグーグル、アップルになる。「オープンイノベーション」で産業の新陳代謝を進めるべきである。(八牧浩行)