多くのゴルフファンからプロゴルフ界のマー君と愛され、世界的にも高い評価を受ける松山英樹さん。彼のドライバーは8年前と変わっていないってご存知でしたか? 『マーク金井の書かずにいられない(メルマガ版)』の著者マーク金井さんがその理由を解説しています。

なぜに松山英樹は8年前のドライバーを試合で使い続けるのか?

先週の米ツアー、ウェイストマネジメント フェニックスオープンは4ホールに及ぶ激闘の末、松山英樹がリッキー・ファウラーを退けて今季初優勝。米ツアー通算2勝目を手に入れた。これで世界ランクも一気に12位まで上げました。

ファウラー、松山とも300ヤードを越えるティショットを放っていますが、使っているドライバーはまったく違います。ファウラーはコブラの新製品「キングリミテッド」を使っていましたが、松山のドライバーはスリクソンの旧モデル、「ZR-30」です。一昨年、米ツアーで優勝した時も「ZR-30」を使っていましたが、このドライバーは何と2008年に発売されたモデルです。松山選手は8年前のドライバーをずっと使っているのです。

では、なぜ松山選手はファウラーのように新しいモデルを使わないのか!?

クラブメーカーは「最新が最善」とアピールしていることを考えると、松山選手はわざと飛ばないドライバーを使っていることになります。もしくは、スリクソンのクラブは性能変化が乏しく、この8年間、飛距離性能がほとんどアップしていないことになります。

ではどちらが正しいかというと、ロボットがテストすれば、8年前のZR-30よりも現行モデルのスリクソンの方が飛距離性能が高いと思います。おそらくマーク金井が試打しても、ZR-30よりは現行スリクソンのほうが飛ぶでしょう。理由は単純、8年前のモデルよりも現行モデルの方がフェースの弾き感がアップしているし、クラブも振りやすく作られているからです。

では、なぜ松山選手は現行モデルよりも飛距離性能が劣る8年前のドライバーを好んで使っているのか?

これもまた、理由があります。ツアープロの場合、ドライバーを選ぶ基準は飛距離だけではありません。自分のイメージした弾道が打ちやすいかどうかも大事な要素です。松山選手の場合、あまりにもZR-30が馴染んでしまい、自分の手足のような感じになっているので、新しいドライバーにシフトできない(シフトしづらい)のだと思います。

加えて、自分に馴染んでいる場合、+5ヤードがあります。フラシーボ効果といってもいいでしょう。「これは飛ぶ」と思い込んだクラブは、その思い込みだけで+5ヤードぐらい伸びてきます。対して、最新モデルにはこの+5ヤードがありません。結果、8年前のモデルよりも飛ぶドライバーを作っても、実際に打比べたときには飛距離差がほとんど出ません。飛距離差がほとんど出ないのであれば、わざわざ新しいドライバーに変える必要がなくなるので、松山選手はZR-30を使い続けているのだと思います。

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では、今後も松山選手はZR-30を使い続けるのか?

クラブの寿命を考えるならば、あと2年ぐらいは使い続けることができるでしょう。しかしながら、それ以降となるとクラブが古くなりすぎて(フェースが割れる可能性が増してきて)、使い続けるのが難しくなります。

松山選手の場合、ドライバーは8年前のモノをずっと使い続けてますが、3Wはしょっちゅう変えています。今回も3Wはテーラーメイドの白ヘッド(ロケットボール ステージ2)でした。それを考えれば、いきなりドライバーを変える可能性もあります。

では、どんなクラブが登場すれば、松山選手はドライバーを変えるのか?

ZR-30と似たようなドライバーではなくて、ZR-30とはまったく違ったコンセプトのドライバーを提供した方が、すんなり取り替える可能性が高くなると思います。例えば、テーラーメイドのM1のように、まったく新しいコンセプトなドライバーです。テーラーの契約選手の多くは、シーズン途中にもかかわらずM1が登場するや、すんなりとM1に変えています。すんなりと変えられたのは、明らかに今までのドライバーと違ったからです。加えて、自分が打ちたい弾道が打て、飛距離が伸びたからです。

松山選手もしかり。ZR-30と似せたドライバーではなく、形状も素材も異なるドライバー、そして、ZR-30よりも低重心で低スピン弾道が打てるドライバーが登場すれば、すんなり変える可能性が高いと思います。その方が、ZR-30と比較しないでクラブを評価するからです。逆に言うと、スリクソンがZR-30のような形状のクラブ、ZR-30と同じような弾道が打てるドライバーを作っている限り、松山選手がZR-30を使い続ける期間が長くなるでしょう。自分の感性を大事にするプロゴルファーの場合、今までと似たクラブを提供されるよりも、ドラスティックに変化したクラブを提供された方が、クラブを客観的にジャッジ(評価)しやすくなり、そして取り替えやすくなるのです。

image by: Flickr

 

『マーク金井の書かずにいられない(メルマガ版)』

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出典元:まぐまぐニュース!