中国政府・衛生和計画生育委員会(衛生と計画出産委員会、衛生委)は18日、2016年度に大学の医学科の学部生小児科医育成コースの学生募集を17年ぶりに復活させることを明らかにした。広東省紙の南方都市報によると、これまで大学院課程では小児科医コースがあったが、「収入が低い」、「治療が悪かったとして家族に報復されることが多い」などで人気がなく、現在では中国全国で小児科医20万人が不足しているという。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国政府・衛生和計画生育委員会(衛生と計画出産委員会、衛生委)は18日、2016年度に大学の医学科の学部生小児科医育成コースの学生募集を17年ぶりに復活させることを明らかにした。広東省紙の南方都市報によると、これまで大学院課程では小児科医コースがあったが、「収入が低い」、「治療が悪かったとして家族に報復されることが多い」などで人気がなく、現在では中国全国で小児科医20万人が不足しているという。

 教育問題を所管するのは教育部なので、衛生委は同部に対して学部生小児科医育成コースの復活を要請し、同部と連携して関係する大学が同コースの開設することを促進するという。

 中国では、小児科医不足の影響が深刻化している。中国を代表する大都市である上海でも、児童1000人当たりの小児科医は0.2人で、米国全国の児童1000人当たり1.6人に比べて極めて少ない。

 中国の全国平均では児童1000人当たり小児科医は0.23人と、小児科医はさらに少ない。

 また、上海の場合には小児科医の70%-80%が小児科専門の病院に勤務している。米国では小児科医の80%-90%が、開業医だったり小さな診療施設で働いているるのとは対照的で、子どもが体調を崩した場合には「大病院」にまで足を運ばねばならない場合が一般的だ。

 上海市の比較的小さな病院では、5-10年も、新任の小児科医がやってこない例が多く、医師がいなくなったために小児科を廃止するケースもあるという。

 医学部の大学院では小児科の専門コースを設けているが、学生には不人気という。収入が少ない上に「報われない」との考えが強いからという。

 医師として、子どもは意思疎通の難しく、「非理性的」な反応を示すことが多いという。さらに、「小児科」とひとくくりにしても、実際に扱う病気は極めて多い点も、「職業」としては難しい面だ。

 中国では、「治療が悪かった」として、家族が医師を激しく非難するケースが多い。暴力事件もしばしば発生する。子どもの病気の場合には症状が激変する場合も多く、さらに長く続いた一人っ子政策の影響で、「わが子を溺愛」する風潮も強まったので、トラブルはなおさら多いという。

 長らく学部生小児科医育成コースの新入生募集をしなかった中国だが、例外的な存在として上海交通大学医学院(医学部)は2012年に小児科医コースを復活させた。ただし、国の方針と矛盾しないように「臨床医学専門(児童科学分野)」とのコース名だった。

 同コースは毎年30人程度を入学させたが、同大学の陳国強医学院院長(医学部長)は「小児科医の置かれた環境を変えなければ、卒業生の全員が本当に小児科を専業とするとは限らない。逆に、30人全員が小児科医になったとしても、実際の必要から見れば、遥かに少ない人数だ」と、事態を憂慮する考えを示した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)