日本は昨年、九州地方を中心とした「明治日本の産業革命遺産」のユネスコ世界遺産リスト入りに成功した。遺産申請の過程で歴史的要因から中国、韓国による抗議の声が出るなど、両国ではネガティブなイメージがあるようだが、ある側面から「日本の努力を学ぶべきだ」とする意見を上海紙・文匯報が19日に掲載した。(イメージ写真提供:(C)yokokenchan/123RF)

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 日本は昨年、九州地方を中心とした「明治日本の産業革命遺産」のユネスコ世界遺産リスト入りに成功した。遺産申請の過程で歴史的要因から中国、韓国による抗議の声が出るなど、両国ではネガティブなイメージがあるようだが、ある側面から「日本の努力を学ぶべきだ」とする意見を上海紙・文匯報が19日に掲載した。

 記事は「日本はどのように工業遺産を保護し、利用しているか」と題し、近代工業遺産の扱いに対する日本の取り組みを紹介したものだ。遺産保護への取り組みが比較的早かった上海市は、現在290カ所余りの工業遺産を残しているとする一方、その多くが有効利用されていないと指摘。今後の都市発展において欠かせないこのテーマについて、日本の取り組みには「参考になる価値がたくさんある」としている。

 まず、日本の工業遺産保護を進める原動力として、技術史の学者および民間の工業愛好者がいると説明。1977年には「日本産業考古学会」が誕生し、遺産に関する情報収集などに大きな役割を果たしてきたとした。

 また、古い設備に新たな資産用途を見出そうとする企業、地域発展のきっかけを模索する地方行政の姿勢に加え、「政府や国民の誇りである近代産業革命の遺産保護、効率的な利用により、民族的な意識が高まる」と考える日本政府の重視ぶりが強力な「エンジン」となったことを論じた。

 そのうえで、「明治日本の産業革命遺産」と14年に世界遺産入りした群馬の富岡製糸場の事例を紹介。それぞれ異なる目的意識を持った官と民が一体となって遺産入りに向け努力してきたことを伝えた。

 そして最後に、「日本の一部近代工業遺産は中韓両国の苦難と直接的に関わるゆえ、遺産申請において両国が厳しく抗議を行った」とする一方で「しかし、純粋に工業遺産の保護・利用という角度から見れば、近年の日本におけるスピーディーな動きとその経験は、中国そして上海にとって鏡となるところがたくさんある」と締めくくっている。

 一面的に見てしまうと感情的になりがちな物事も、別の角度から見ることで全く異なる意味合いが浮かび上がってくるものだ。古いものを壊して新しいものを建てることで経済効果よりも「無駄遣い」が生じる傾向にある昨今の中国において、既存のものから別の新たな価値を見出す姿勢は不可欠である。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:(C)yokokenchan/123RF)