人間にとって体脂肪の役割が大きいことは理解できたはずだ。中には「体重が増えた。体脂肪を削ぎ落とさなくては…」などと、自己判断でダイエット運動やスポーツで懸命に汗を流す人も多いが、ダイエットをしすぎて皮下脂肪を減らすのも考えものなのだ。
 東京都多摩総合医療センター循環器科担当医はこう言う。
 「体脂肪が10%以下になってしまうと、環境の変化や暑さ寒さなどに弱く抵抗力が落ちてしまう。すると風邪を引きやすくなるし、内臓を支える脂肪も減るので、内臓下垂症(例えば胃下垂)にもなりやすい。不必要な脂肪がある場合は(=腹囲が男性85センチ、女性90センチ以上)落とすのもいいでしょうが、よく調べた上で取り組んで欲しいものです」
 つまり、適度に脂肪と筋肉の付いた均整の取れた身体を手に入れるには“知的な努力”を重ねていく必要があるのだ。

 問題なのは、生活習慣が乱れ、体脂肪を皮下に溜めきれず、溢れた脂肪が小腸やその周辺の臓器の周りに蓄積すること。さらに本来、脂肪が付いてはいけない心臓や肝臓に付着して内臓脂肪あるいは脂肪異常(高脂血症)をもたらし、結果、動脈硬化症や心臓病、脳卒中、糖尿病などの原因を作ることだ。
 こうしたことを防ぐには、やはり食事の摂取量の調整と栄養素の摂取の仕方に掛かっている。
 「お腹周りの筋肉を落とす場合は、ある程度糖質を制限することが必要なときがありますが、糖質は減らしすぎると逆にお腹周りの脂肪が減りにくくなるので、注意が必要。糖質摂取量は人によって異なるため、ここで食べる量は示せません。ただし言えることは、減らすべきはスイーツなどの糖類であって、炭水化物(お米、餅など)はなるべく摂取していく方が、お腹周りの脂肪は減りやすいということです」(管理栄養士で料理研究家の林泰子氏)

 内臓脂肪は皮下脂肪に比べ、生活習慣病を改善するより落ちやすいと言われている。一人一人が内臓脂肪の付きにくい生活を考えて、保健指導、健康促進などの指導を参考にする必要がある。
 おすすめは血糖値の度合いを示す指標=G1値=の低い玄米や五穀米だが、白米を食べても体脂肪率を1桁台まで落とす人もいる。また卵、肉、魚、乳製品、豆などでたんぱく質を摂り、筋肉量を維持すべきだ。洋食やジャンクフードなどは控え、できれば日本食をメーンにしたい。
 「あとは、適度の運動です。特に有酸素運動で酸素を取り込むことで、脂肪の燃焼を促し、体脂肪を減らすサポートをすること。ウオーキングなど、身体への負担が軽い運動を毎日継続することが大事です」(前出・健康ライター)

 いずれにしても、脂肪は悪者ではない。暴飲暴食、運動不足という不摂生な生活を繰り返す我々に責任がある。余分な脂肪を溜めずに健康でいたければ、食事を少なめに摂り、日頃から活発な私生活を行うことだ。