中年期にしっかり運動をしていないと年を取ってから脳が萎縮するという調査結果を米ボストン大などの研究チームがまとめ、米神経学会誌「AANJ」(電子版)の2016年1月号に発表した。

脳の萎縮は認知機能の低下につながるが、運動によって認知症を防ぐ可能性が改めて示された形だ。

運動すれば血流が増え、多くの酸素が脳に運ばれる

研究チームは、認知症や心疾患のない平均年齢40歳の約1500人にランニングマシンで運動してもらうテストを実施、20年後に再度テストを行ない、脳の状態を磁気共鳴断層撮影(MRI)装置で調べた。その結果、20年後にランニングマシンの運動成績が良くなかった人は、脳が萎縮している人が多かった。

成績が悪かった人のうち、心疾患の症状がなく、高血圧の薬も飲んでいない人は、成績の良かった人に比べ、脳の老化が1年分加速していた。また、心疾患の症状があったり、薬を飲んだりしている人は、脳の老化が2年分進んでいた。つまり、たとえ健康状態が良くても中年期の運動をさぼり、老年期に運動能力が悪いと脳の萎縮が進むのだ。

運動能力と高齢者の認知機能との関連は別の研究でも明らかになっている。2015年5月には、中年期の運動能力が高いほど、5年後の脳が萎縮も少ないという研究結果が発表されている。

今回の結果について、ボストン大学医学部のニコール・スパルタノ教授は「脳の健康のためには中年期の運動が大切なことがわかった。運動をすれば血流が増え、より多くの酸素が脳に運ばれて、年を取ってからの認知力の低下を防げる。特に心疾患を持つ人にとっては脳の加齢が早いので、それを防ぐために運動をすることが重要だ」と話している。