2016年スーパーボウルCM「ベスト&ワースト集」『WIRED』US版選

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スーパーボウルの印象的なCMと言えば、あの有名な1984年に初放映されたアップルの「Macintosh」だろう。今年もその熱い広告戦争に多くのCMが打たれたが、『WIRED』US版が選ぶそのベストCMとワーストCMを一挙に紹介しよう。

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テレビを録画して見る場合、人はほぼ99.9999パーセントの確率で、その間のコマーシャルは早送りですっ飛ばす。ライヴ観戦の場合は、コマーシャルはほぼ無視される存在だ。

だが、0.0001パーセントの例外がある。「スーパーボウル」だ。このときばかりは、確実に、CMが多くの人に見てもらえることが約束されている。

このビックゲームの数カ月前、企業はかなり気狂いなほどの時間とお金を費っこんでスーパーボウル用広告を制作する。そして、また山のようなお金が積み上げられ放送されるわけだ(今年は広告ひとつあたり500万ドルもの大金がかけられた)。すべては何かを売るために、また誰もが話題にする30秒にするために、もう必死だ。

試合が終わる前から、素晴らしい広告はポップカルチャーとして受け入れられるし、逆に失敗作の場合も、同じように記憶に残る(もう消し去ってくれ!と望んだとしても)。ここでは、今年のスーパーボウル・コマーシャルのベストCMから紹介していこう。

コミカルに森のバターをアピール|Avocados From Mexico

このCMは、メキシコ産アボカドのコマーシャルだ(おそらくカリフォルニア州産アボカドが競争相手、なのだろう)。

だが、スーパーボウルパーティーの必需品、ワカモレ(アボカドディップ)に必須な美味しくてヘルシーなアボカドに気を取られてはならない。SFアクション映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のコレクターギャラリーのパロディーCMを楽しめない事態は避けるべきだ。

このCMではエイリアン集団がツアーガイドに連れられて、伝説的なルービックキューブに、21世紀の拷問とも言うべき飛行機の座席シート、絵文字、そして一時論争を巻き起こした白と金のドレス(いや青と黒だったか)、それに高名なスコット・ベイオといった愉快な展示を見てまわる。

これは流行に敏感なポップカルチャーの博物館のどれもが所有したいと考えるギャラリーだ。ただ、ときどきスコット・ベイオにワカモレを与えることを忘れてはならない。

ほぼ“完璧”、おウチ探しから引越まで|Apartments.com

いまだかつてスーパーボウルのコマーシャルで本当に意味あるものはなかったと言っていいが、ジェフ・ゴールドブラムが『ザ・ジェファーソンズ』のテーマソングを歌っているこのCMを見ても何の意味もなさない。そういう意味で、この作品はほぼ完璧なCMだ。

ジェフ・ゴールドブラムが小さなグランドピアノの前に座って、マンションの建物の最上階まで上昇していき、最上階にはその上ジョージ・ワシントンとリル・ウェインがいてハンバーガーを調理しているのだから、もうとりわけ意味がない。そう、これはApartments.comでの引越作業なわけだ。

デヴィッド・ボウイとの相乗効果がドンピシャ|アウディ

きっとみんなそうだと思うが、デヴィッド・ボウイの歌を聞くと、いまでも少しばかり胸が詰まってしまうだろう。

だからこのアウディのCMを見ると、宇宙開発のノスタルジアとボウイの歌う「スターマン」が相まって、「もうはや過ぎ」という気持ちになる(大幅なスピード違反に違いないだろうが)。広告を見ていると、年配の男性と若い宇宙飛行士2人のシーンの方に目が行ってしまうだろうが、これは、涙ものだ。

ヘレン・ミレンからの素晴らしい助言|バドワイザー

イギリスの大女優ヘレン・ミレンは、傍にバドワイザーを置きながらこう言う。飲酒運転をしている人に向かって、言葉を選びながら「飲酒運転しないように」と勧めている。

わたしたちは、スクリーン上のシャンパンやドライマティーニあたりをたしなむミレンをずっと見てきたように思うが(それはまぁ置いておいて)。飲酒運転をやめさせられるのなら、その当人が何を飲んでいるか、は重要ではない(スクリーン上のミレンも、人生には必要だ)。

クリームチーズに引っかけた広告ギャンブラー|Adobe Marketing Cloud

彼はスポーツファンなのか、いや彼はギャンブラーだ。いやいや、それも違う。彼はスーパーボウルの時間帯に大金をかけて、馬鹿げたクリームチーズのコマーシャルを出した広告担当重役だ。

もうお分かりだろう。Adobe Marketing Cloudの自作自演コマーシャルだ。

娘が可愛くて仕方がない、でもちょっとウザい父親役もハマるケヴィン・ハート|ヒュンダイ

俳優ケヴィン・ハートは、コメディ映画『ゲット・ハード』で好演した「タフガイ」な印象だが、かなりコミカルな一面もあるようだ。だからこのコマーシャルで、ヒュンダイのクルマに乗って彼とデートするわが娘を何がなんでも守りたい父親役を演じる彼を見るのは、かなり笑える。

それと、ケヴィン・ハート粉する父親がデート中のクルマを追跡するのに使っていた「Car Finder」という機能。ティーン世代には超ゾッとする代物かもしれない(母親がFacebookを駆使して追跡してるというのはよくある話だが)。

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どれほどスナックを売りたいのか|ドリトス

ものすごいハイスピードで気分の悪い作品になっていったワーストCMがこちら

CMの始め、出産前の緊張でピリピリしている女性が登場。自分が赤ちゃんの超音波検査を受けているすぐ横でパートナーがドリトスを食べ始め、顔をしかめさらに動揺するシーンがあるが、お腹の赤ちゃんがチーズ味のドリトスに反応してその方向に手を伸ばす動きまでは、まだ可愛らしかった。

しかし怒りが頂点に達した女性がドリトスを投げ、それとともに赤ちゃんが自分で子宮から出てきてしまうとなると、そう、誰も食欲がなくなってしまったのは言うまでもないだろう。

「パピーモンキーベイビー」はあまりに怖すぎた|Mountain Dew Kickstart

まったくもって最悪なのが「パピーモンキーベイビー」のCMだ。どうしてスーパーボウルの最中にこのようなCMを見ないといけないのだろうか。そもそも、どう見ても魅力のない彼が歌う必要があったのか。このCMは誰かに、ヒ素以外の何かを飲みたいという気持ちにさせただろうか?(マウンテンデューキックスタートだって、率直言ってだれも飲む義務はないが)。

以上はすべて答えのない疑問である。だが、ひとつだけ真実がある。伝説の子ども向けホラー作家R・L・スタインすら恐れさせたのなら、それは度が過ぎた、ということだ。

アメフト好きな腸のアニメはちょっと不可解|Xifaxan

人間の大事な消化器官である「腸」。だが、その腸に腸があったなら、何が起こるのか? このCMで、治療薬「Xifaxan」にどんな効き目があるか分かるだろう。

粘土でできた「腸くん」が登場するこのコマーシャルは、下痢を伴う過敏性腸症候群の治療のためのものだが(言っておくが粘土の彼、のだ)、もはや理解不能を超えている。まず、腸がなぜアメフトが好きなのか分からないし、この腸くんが自分の腸に問題を抱えている設定も奇妙に思える (繰り返しになるけど、だって腸に腸があるの?って話)。だが、1番理解不能なのは、観戦者の人々の誰もが粘土の塊の隣で応援していることにほんの少しも驚いていないってことだ。

クルマを売るのになぜプッシー・ライオット?|トヨタ

トヨタのプリウスのコマーシャルは、O・J・シンプソンマニアに受けそうなフォード・ブロンコで逃走するイメージ風の銀行強盗団が登場する。だが、このCMに登場する銀行強盗団はプッシー・ライオット風のショッキングピンクのマスクを着用していて、途中登場する少女グループも同じマスクを着用している。これはどちらもあのロシアのフェミニストパンクグループを連想させるのだが。

CMはよく出来ているし、素晴らしい作品だろう。しかしプッシー・ライオットはかなりアンチ資本主義で、本気でクルマを売ることなどまずしないだろう。

音声認識AIスピーカーAmazon Echo|アマゾン

#BaldwinBowl旋風を巻き起こしAmazonEchoを売る、そのために俳優アレック・ボールドウィン (とそのとてもセクシーな声)を起用したアマゾン。ドラマ『サーティー・ロック』のジャック・ドナギーがそのまま飛び出したようなボールドウィンとアメリカンフットボール元ドルフィンズ・クォーターバックのダン・マリーノの2人は、“スナックスタジアム”のロジスティクスを検討している。

ときどきEchoの音声サーヴィスAlexaに助けを求めるのだが、こAlexaが「アレック(Alec)」のように聞こえると、Echoは何か恐ろしく豹変するのだ(同じくAmazon Echoの別CMのミッシー・エリオットによるフォローアップは素晴らしいのだが)。

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