アナタを突然襲う パニック障害とは

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「そこからはもう、地獄でした。暴力シーンが怖くてテレビも見られない。悲惨な事故が報じられる新聞も読めない。スピードが怖くてタクシーにも乗れない。小さい音でも大きく聞こえるので、誰かがコップを置くわずかな音でどきっとしました。日常生活も難しくなり、夕暮れになると怖くて泣いていました。-中略- 怖さが増幅されるイメージです。もともと高所恐怖症だったのが極端になり、まっすぐな道路を走っていると空に向かって走っているようで怖くて耐えられない。雨が降りそうなときや夕暮れは誰もが寂しい気持ちになると思いますが、それが増幅されて怖くてたまらないんです。」

これは、シンガー・ソングライター円広志さん(62)が自らのパニック障害を語ったくだりです。パニック障害とはどんな病気なのでしょう。

パニック障害のきっかけとなる「パニック発作」


パニック発作は急性の強い不安発作です。
場所や状況を問わず、何の前ぶれもなしに突然起こるのが特徴です。

ただし、30分以内には治まります。
パニック発作には強い身体症状が伴います。

次のうち4つ以上が突然に現れ、10分以内に頂点に達する場合「パニック発作」とされます。

・動悸または心拍数の増加
・発汗
・身震い、または震え
・息切れ感または息苦しさ
・窒息感
・胸痛または胸部の不快感
・吐き気または腹部の不快感
・めまい感、ふらつく感じ、頭が痛くなる感じ、または気が遠くなる感じ
・現実でない感じ、または自分が自分でない感じ
・コントロールを失ったり、気が狂うことへの恐怖
・死ぬことに対する恐怖
・感覚マヒ、またはうずき感
・冷感または熱感

パニック障害:パニック発作に生活が振り回される状態


パニック発作が一度起きると、また起こるのではと「予期不安」に苛まれたり、実際に、パニック発作が繰り返し起こったりします。

そして、少なくとも1回の発作後、1か月以上「予期不安」「発作の結果への不安」「発作を起こしそうな状況を回避する」の一つが続いている場合、「パニック障害」と診断されます。

パニック発作がパニック障害に発展していって、パニック発作とその予期不安に心や生活が振り回される状態になってしまいます。
また、慢性化すると「広場恐怖症」に重症化する場合もあります。

パニック障害や不安障害の治療


近年になって、この障害に脳の機能や神経伝達物質の作用が影響しているということが明らかになっています。

特に大脳辺縁系にあって情動の中枢を司る扁桃体(へんとうたい)の過剰興奮が、こわがり(不安)の病態反応に関与していること、また、神経伝達物質のドパミン・セロトニン・GABAも、不安・抗不安に関わっているなどが解明されています。

そこで治療法としては、抗うつ剤でもあるSSRIやベンゾジアゼピン系抗不安薬などを用いた薬物療法と精神療法が効果的とされています。


かつては「不安神経症」と呼ばれたパニック障害。
冒頭の円さんの経験は、極端な恐がりの印象をもたれるかもしれません。

パニック障害も含めた不安障害は、別名「怖がりとこだわりの病態」とも言われます。
でも、曖昧さが許されず、一瞬先に何が起こってもおかしくない高ストレスな現代社会では、誰もが襲われうる症状なのかもしれません。

<参考>
『今日の精神疾患治療指針』医学書院
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160208-00000536-san-hlth

執筆者:山本 恵一
監修医:坂本 忍