漢字離れに歯止めになる? 日本語の乱れになる? 漢字「とめ」「はね」のスルー化での影響とは

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近年の日本は、インターネットやスマホの普及から、漢字離れが進んでいると言われている。特にインターネットのニュースなどでは、難しい漢字の使用はさけられ、ひらがなやカタカナの表記に変更されているケースも増えている。

また、デジタル機器などでの文字入力が増えたことで、実際に手書きする頻度が減っていることや、漢字の「とめ」「はね」「はらい」など細かい書き方の煩雑さなども、漢字を敬遠しやすい風潮を後押ししているようだ、

そんな状況の中、文化庁の文化審議会漢字小委員会は、手書きの漢字について、「とめ」「はね」「はらい」など細かい違いにはこだわらないという指針案をまとめた。

今後、多少の違いはあっても同じ字と認めると言うことだ。

実際、人によって書く文字の形はさまざまだ。たとえ自分の書く文字と形が少し違っても、認識できないわけではないし、日常生活では同じ文字として認識している。
そういう意味では、もともと我々の許容範囲は広いのかもしれない。

しかし、絶対的に「正しい字」というのはあったわけで、それが曖昧になってしまうのは問題ないのであろうか。

●漢字の「とめ」「はね」って大事なの?
現状、漢字の細かい部分をもっとも問題にしているのは教育現場だろう。
漢字を習う際には、書き順とともに、「とめ」「はね」「はらい」や、点の向きや線の長短など、実に細部にわたって細かく教えられている。

もちろん、こうした書き方や形は、テストでも○×=正解・不正解の判定にもなっている。
特に中学受験では重要視されており、塾でも何度も確認されるところだ。
「とめ」「はね」「はらい」などが、受験での合否にも関わってくるとなれば、子どもや親だけでなく、学校、塾も知らん顔をするわけにもいかない。
結果、分かりやすく解説した書籍まで出回っているくらいなのだ。

受験以外に、もう1つ問題となっているものがある。
それが、役所や銀行などで提出する書類だ。
正確でない字なので書き直しをするよう言われるなどといったトラブルも起きている。

このような、重箱の隅をつつくような漢字の正誤問題が漢字離れの原因ともなっているという指摘もある。
自分では正しく書いているつもりでも、「間違っている」とされてしまうのであれば、いっそのこと漢字を書かなければいいと思う人が増えるのもある当然なのかもしれない。

昨今では、パソコンを利用して文書を書き、印刷すれば正しい字で印字される。そんなことからも、漢字は日常生活で使ってはいるが、手書きはしないといった状況も、漢字を書きたがらなくなることを後押ししているのだろう。

●多様な書き方の漢字が認められるとどうなる?
漢字の正誤が緩和されれば、今より漢字は簡単になり、使いやすくなるのは間違いない。細かいところにまで気を遣いながら書く必要が無くなるし、「正確にはここははねなければおかしい」と、チクリと言われることもなくなる。

漢字を習うときも、「とめ」「はね」「はらい」など細部の違いまで覚えなくてもよくなれば、覚えるのも楽になる。受験生にとっても、これほどありがたいことはないに違いない。
自由に、気を遣わずに漢字を書くことができるようになれば、漢字離れにも歯止めをかけられるかもしれない。

とはいえ、あまり緩和してしまうと、文字が崩れて言ってしまうのではという懸念もないわけではない。

たとえば、今回の指針案では、「天」という字の横棒は、上下どちらが長くてもOKとなっている。

「天」は、「未」と「末」のように、長さを間違えると違う字になる心配がないからOKとされているそうだ。
しかし、こうした寛容さが浸透し、崩しに「未」と「末」のように上下の横棒の長さで違う文字が混同されていく可能性も老婆心ながら心配になる。
上下どちらが長くてもOKは間違いと、教えられてきた身としては、ちょっとゆるすぎないか?と感じることも確かだ。

文字は時代とともに変化していくものだ。
何が何でも変えてはいけないというものではない。

漢字が簡単になって、使いやすくなるのは喜ぶべきことなのだろう。
しかし、どこまで寛容にするか、許容するのか、多くの人が納得できるガイドラインで使われるようにするのは難しい。

今回の指針が、今後の漢字の揺らぎや使い方に、どう影響していくのか、展開が気になるところだ。