見守り介護ロボット・ケアロボ

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 認知症患者の家族にかかる負担は大きい。少し目を離した隙にふらりとどこかへ消えてしまうこともある。ケアする側は身心ともに休まる時がない。しかも、徘徊の末に事故を起こしてしまった場合、その賠償請求が「家族」へと向けられるケースが出てきているのだ。

 たとえば、2007年、愛知県大府市で徘徊中の認知症男性(91、当時)が列車にはねられ死亡した事故をめぐり、JR東海が遺族に約720万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月1日に下される。

 では、家族はどうすればいいのか。多くの実例を見てきた「認知症の人と家族の会」愛知県支部の尾之内直美・代表の解決策は具体的だ。

「家族にはデイサービスのような施設を週2〜3回、上手に利用することをお勧めしたい。出会いが刺激になり認知症の進行予防になる。同時に家族にとっても休息を取ってゆとりができるから、いい方向への生活サイクルができる」

 行き先を告げず外出されてしまうことを完全には防げないが、家族を助けるグッズ・システムもある。セコムが発売する「ココセコム」はGPSを通じて機器を携帯する人の居場所が高精度で検知できる。

 認知症対応の特定割引プラン(基本料金月500円)があり、初期費用は機器代金、充電器代金を含め7000円から。コールセンターへ連絡すれば専門のオペレーターが現在位置を検索して知らせてくれる(別途料金)。緊急の際には要請に応じてガードマンが駆けつけるサービスもある。

「見守り端末」を携帯するのを嫌がる高齢者は少なくないが、身につけてもらう工夫もさまざまだ。

「首にかけるストラップを自力では抜けないように短くして本人の目に付きにくくしたり、ジャケットの内ポケットに縫い込んだり、家庭によって工夫があります」(尾之内氏)

 本人に機器の存在を意識させないよう工夫した商品が「みまもりシューズ」(システムインナカゴミ)。靴の踵部分にGPSが内蔵されている。価格は6万9000円と高めだが、2年間のシステム使用料を含んでいる。

「見守り介護ロボット・ケアロボ」(テクノスジャパン)は、サービス付き高齢者住宅などに住む独居の認知症高齢者向けの商品。室内での動きを検知するセンサーのほか、本人が何か困った際に声に反応してコールセンターを呼び出す機能もある。

 尾之内氏の所属する「認知症の人と家族の会」では、毎月1回、家族や本人を交えた交流会を開いている。

「認知症への対応策は家族によってさまざま、一通りではありません。同じ境遇の家族同士で情報交換すると、次はこれを試してみよう、という引き出しが広がり、希望も持てるはずです」

 一つの家族だけでなく企業や共同体などを含めた社会全体で困難を共有していくことが、今後は必要になってくる。

※週刊ポスト2016年2月26日号