覚せい剤とは何か? 種類 症状 常習性、止める事はできるのか?

写真拡大

元プロ野球選手の清原和博容疑者が覚せい剤所持容疑で逮捕という報道は、衝撃的でした。
「あの大物選手が!」と誰もが驚いたと思いますが、実は警察では内偵が進んでいたとか。

週刊誌に取り上げられて疑いをかけられていることが分かっていても、やめられなかった覚せい剤とはどんなものなのでしょうか。

覚せい剤とは?


覚せい剤は、人工的に作られた化学物質で、アンフェタミン系とメタンフェタミン系という種類があります。
コカインやヘロイン、大麻などの麻薬の成分は植物を原料として作られたメタンフェタミンなのですが、覚せい剤は、工場で作られた化学化合物なので、体内に入ると分解されず体内に残るため、中毒症状をおこします。

メタンフェタミン系の原料は、フェニル酢酸、フェニルアラニン等の合成や睡眠薬や漢方薬から抽出したエフェドリンに、ラクトース、キニーネ、ストリキニーネ、殺虫剤、写真の現像液などを混ぜ合わせたもので、通常体内に取り込まれると、拒否反応が出るほか、腎臓や肺機能に障害がおこり、死に至ることもあります。

覚せい剤の症状


覚せい剤を注射すると、いくつかの段階を経て常習者となっていきます。

ラッシュ


最初打ったときに感じる快感です。心拍は早くなり、血圧や脈拍が上昇します。30分ほど続きます。

ハイ


快感の後に続く状態のことで、4時間〜16時間持続します。
自分が鋭敏になったような気分で、論争をしたり、他人の話に割って入って自分勝手な結論を出したりします。
また、妄想がでて、同じ事を繰り返したり、1つのことに何時間も集中していたりします。

酩酊状態


アルコールを飲み過ぎてコントロールがきかなくなった場合の酩酊状態とは異なり、ハイの状態を保つために、更に覚せい剤を使用したいという衝動を抑えられなくなることをいいます。
酩酊状態は、3日〜15日間続くこともあります。

酩酊状態の間は、精神も体もハイパーアクティブになりますが、常習性が高まると、その快感は弱まっていき、最終的には快感を得ることもハイな状態を感じることもできなくなります。

禁断症状


酩酊状態が終わると、覚せい剤から快感やハイの状態が得られなくなってしまい、猛烈な空虚感と薬物への渇望がでて、自己の感覚を失ってしまいます。
精神異常をきたした状態に陥り、皮膚の下を虫がはっているなどの感覚を覚え、何日も眠ることができなくなります。
鮮明な幻覚がでてきて、現実世界から遮断され、危険な存在になります。自傷のリスクもあります。

破綻


体が薬物の作用に対処できなくなると、破綻状態になります。
この状態になると、長時間眠り続け、生気がなくなります。1日〜3日続きます。

脱力感


破綻の後、衰弱や飢え、脱水、身体的、精神的に完全に消耗した状態になります。
2日〜14日ほど続きます。
このような状態を抜け出したいために覚せい剤を使用して、解決しようとします。

離脱反応


覚せい剤を使用して30日〜90日程経つと、離脱反応を経験します。
うつ状態になり、エネルギーや能力がなくなります。
そして、ますます覚せい剤を渇望するようになり、自殺を試みることもあります。

離脱は、極度の苦痛を伴うものなので、ほとんどの乱用者が覚せい剤を使用してしまいます。
治療しても90%以上が乱用者に戻ってしまいます。

覚せい剤をやめることはできるのか?


これまでお話してきたように、覚せい剤は強い常習性や辛い離脱反応があるため、本人の力だけでやめることは簡単なことではありません。
では、覚せい剤をやめるためにはどんなことが必要なのでしょうか?

ここで、薬物依存症患者のためのリハビリ施設「ダルク」の取り組みをみてみましょう。


ダルクでは、入寮して、「薬物中毒から回復したい」という同じ目的をもつ仲間たちと自助グループを作り、グループセラピーやミーティングを通して今までとは違う生き方を練習していきます。
ほかにも、山登りや様々なスポーツなどのレクリエーションを行い、薬物を使わないで生きることを実践しながら、回復を目指していきます。

また、ダルクでは、入寮者だけでなく、スタッフも薬物依存症の経験者であるため、お互いに悩みを分かち合いながら、成長していける環境が作られています。
ダルクの例を見てわかるように、覚せい剤をやめるためには、仲間の存在が非常に重要なのです。

大切なのは意思の強さ


とはいっても、覚せい剤をやめるために一番大切なのは、本人の意思でしょう。
人間だれもが一人だけで生きているのではありません。周囲に心配してくれている人がいます。

その人達のためにも「何が何でもやめる」と強く決意することが必要です。

ただ、覚せい剤から抜け出すまでには、いろいろな禁断症状が現れ、気分にも波がでます。
そのため、一緒にいる人にそれらを理解してもらう必要があります。

「一度だけだから…」と気軽に手を出すと、本当に恐ろしい覚せい剤。

悩みや辛いことがあって薬物に手を出しても何の解決にもなりません。
それどころが自分の人生を台無しにしてしまうことになるのです。
恐ろしさをしっかり知っておきましょう。

「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」
覚醒剤撲滅CMのこのキャッチコピー、重いものがありますね。

執筆者:南部 洋子
監修医:坂本 忍