専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第42回

 ゴルフに関する「名言・格言」のたぐいは結構たくさんあって、ためになることが多いです。今回は、選手や著名人が残した名言や格言を先に紹介し、そのあとに我々がラウンド中に陥りやすいジンクス的なものを記していきたいと思います。

 まずは、世界の「名言・格言」から。

 ゴルフのハンデキャップとは、いったい何でしょう。「シングルの人って、どうせ仕事もしないで、毎日ゴルフ漬けなんでしょ」と言われたりしますが、実は1世紀も前から、同様のことは語られていました。

「ハンデ30の人は、ゴルフをおろそかにする。ハンデ20の人は、家庭をおろそかにする。ハンデ10の人は、仕事をおろそかにする。ハンデ5以下の人は、すべてをおろそかにする」

 これは、100年前のイギリスの首相、デビッド・ロイド・ジョージが語ったもの。普通に仕事をしているアマチュアにとっては、「すべてを犠牲にしないと、ハンデ5以下にはなれない」ということでしょうか。この名言が発せられた頃、日本はまだ大正時代です。イギリスのゴルフ文化は、相当進んでいましたね。

 イギリスの首相は、ゴルフに関してウィットに富んだ面白いことを言うものです。1940年台前半と1950年台前半に首相を務めたウィンストン・チャーチルは、こんなふうに表現しています。

「ゴルフは、自分の思いどおりにはいかない唯一のシャクの種。惚れているけど、好きではない」

 まるで、どっぷりハマッた恋愛について表しているかのよう。「惚れているけど、好きじゃない」って、DVの男と付き合ったんでしょうか......うまいこと言いますね。

 次は、映画『ホワイト・クリスマス』(1954年/アメリカ)で一世を風靡したアメリカの歌手・俳優、ビング・クロスビーの言葉です。

「どうしても友だちになれない人種がいる。小さな嘘をつくやつと、アイアンの飛距離を自慢するやつ」

 アメリカでは50年も前に「意識高い系」のゴルファーが、すでに存在していたとは......。「俺は、9番アイアンで150ヤード飛ばす」的なホラ発言は、永遠に不滅なんでしょう。

"もうひとりのクロスビー"もいいことを言っています。ビング・クロスビーの息子で、トップアマだったナサニエル・クロスビーの発言です。

「飛距離は捨てても9割残る。方向性を捨てたら何も残らない」

 この言葉は、個人的に大好きです。できれば220ヤード飛ばしたいと思っていた飛距離を、たとえ200ヤードであきらめたとしても、フェアウェーをキープすれば、ボギーぐらいはとれるでしょう。でも、方向性を捨てたら、即OBでスコアにならない。

 だから、"飛んで曲がる球"と"飛ばないけど曲がらない球"のどっちを選ぶかと聞かれたら、私は迷わず後者を選びます。多くのアマチュアは、そこをあまり理解していないのかと思います。

 飛距離で言えば、さらにこんな言葉もあります。私はあまり飛ばないので、いつもこの"格言"を肝に銘じてラウンドしています。

「飛距離は持って生まれたもの。無駄な抵抗はやめよ」

 さすが"ゴルフの神様"宮本留吉さん(※)、含蓄があります。この言葉によって、飛距離に関する煩悩をばっさりと捨てられます。みなさん、無駄な抵抗はやめましょう。
※みやもと・とめきち。1902年生まれ。1925年にプロとなった、日本のプロゴルファーの草分け。日本オープン優勝は歴代最多の6回。

 ざっと著名人の「名言・格言」を紹介したところで、最後にアマチュアのジンクス的な「名言・格言」を少々。

「スタートホールがバーディーだと、その日は叩く」

 これは、よく言われていますね。たぶんバーディーをとって欲が出て、その後、強気なプレーをしてしまうからでしょう。加えて、プレッシャーもかかって、自分のプレーができずに空回りしてしまうのかもしれません。

「人がグリーンにいると、遠い距離でも案外届く」

 これは、前の組がまだグリーン上でパターをしていて、200ヤード強の距離が残っているときに、「大丈夫、180ヤードしか飛ばないクラブだから」と言って、ナイスショットしてしまうこと。結果、打ち込んでしまって、ヒヤッとすることはよくあります。「(グリーンに)乗るわけがないから」と気楽に打つので、逆に力が抜けていい当たりになるのでしょう。

 逆のジンクスもあります。

「ラウンド中、渋滞が起きると、次のショットはかなりの確率でミスショットする」

 俗に言う「待ち疲れ」というやつです。この現象は、イライラして、精神的なゆとりがなくなって起こるのだと思います。こういうときは、打つ前に10歩下がって、まるで今ボールのところに到達したかのようなふりをして、仕切り直したほうがいいでしょう。

 他にも、「"お先に"の短いパットは、失敗することがよくある」「後続組がやってきて、ギャラリーが増えるとミスショットする」など、ゴルフの"民間ジンクス"は山のようにあります。

 鋭い指摘もずいぶんあるので、今後のプレーの参考に役立てていただければ幸いです。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa