中国新聞社によると、日本を訪れる中国人客のニーズに変化が生じている。家電や日用品、ドラッグ類に殺到した「物欲本位」の購入衝動から、「日本の伝統文化」に関連する商品への関心が高まっている。(イメージ写真提供:(C)akiyoko/123RF.COM)

写真拡大

 中国新聞社によると、日本を訪れる中国人客のニーズに変化が生じている。家電や日用品、ドラッグ類に殺到した「物欲本位」の購入衝動から、「日本の伝統文化」に関連する商品への関心が高まっている。中国新聞社が伝えた。

 記事は代表例として、レコード会社や販売店の対応を紹介した。銀座の中心部にある大手販売店では、外国人客向けに「日本的な音楽」のコーナーを設けた。

 制作するレコード会社も、工夫を凝らした。代表的な商品に「日本の伝統楽器で奏でる各種名曲」のCDがあるという。これまでは、日本の音楽と言えば、ポップスやアニメが人気だったが、「もっと伝統的な日本の音」に対するニーズが高まったからという。

 ただし、演奏する楽曲は「北国の春」や「蘇州夜曲」など、中国で知名度が高く、親しみやすいものを選んだ。個人としての「旅の思い出」だけでなく、帰国した際に周囲に配る「贈答品」としての利用も意識したという。

**********

◆解説◆
 日本の伝統楽器は、雅楽から近世邦楽に至るまで、中国から場合によっては朝鮮を経由して伝わった楽器が、改良されてきたものと言ってよい。ただし、日本人の音感は、中国人の伝統的な音感とは微妙に異なっている。中国の場合には、洋楽風に言えば1オクターブ内にド・レ・ミ・ソ・ラの5音を使い、中心的な音(終止音)はソである場合が最も多い。

 日本の伝統音楽の場合は、日本海側には「ラ」を中心とする音組織(音階)の使用例が多い。この音階は、モンゴルやチベット、雲南省の諸民族で特によく見られる。漢族音楽では比較的少ない。

 日本でも、太平洋側の伝統音楽は「ソ」を中心とする音楽が多かったが、江戸時代に「ラ」や「ミ」を半音下げる音階が急速に広まった(都節=みやこぶし)。いわゆる近世邦楽の楽曲はほとんどがこの音階だ。しかし漢族音楽にはほとんど存在しない。

 日本では明治以降、洋楽と日本的な節回しを融合させる作曲技法の研究が続いた。結果として、旋律面でも中国の伝統音楽に近いものが多用されるようになった(ヨナ抜き音階)。日本の伝統楽器を用いて、「北国の春」などの中国人にとってなじみやすい楽曲を演奏するCDは、「日本の音を素材に、中国人になじみやすい曲を聞かせる」という、顧客ニーズに対して極めて巧みに応える企画と言える。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)akiyoko/123RF.COM)