「新エネルギー車」と呼ばれるエコカー普及に向けて大々的に動き出している中国だが、王安順・北京市長が先日、新エネルギー車の発展に尽力するが「ハイブリッド車(HV)はやらない」と発言したという。国を代表する首都の「HV外し」に、国内の業界関係者から反発の声が出ている。(イメージ写真提供:123RF)  

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 「新エネルギー車」と呼ばれるエコカー普及に向けて大々的に動き出している中国だが、王安順・北京市長が先日、新エネルギー車の発展に尽力するが「ハイブリッド車(HV)はやらない」と発言したという。国を代表する首都の「HV外し」に、国内の業界関係者から反発の声が出ている。

 中国自動車工業協会の公式サイトは15日、協会幹部が書いた「北京がHVを拒絶 どうしてこんなに堂々としているのか」と題する評論文書を掲載した。文章は、先月24日に中国メディア・北京晨報の報道として、北京市の主要な指導者(北京晨報は王市長であることを伝えている)が「北京は一意専心に新エネルギー車を発展させるが、HVは受け入れない」と語ったことを紹介。「北京市はどうしてこんなに勝手なことができるなのか」と疑問を投げかけた。

 そのうえで、問題点として同市がHV車導入による排気ガス削減効果に見て見ぬふりをしていることを指摘。現在同市にあるタクシー約7万4000台をすべてHVに置き換えたばあい、自家用車55万台分にあたる年間4億リットルのガソリン節約となり、排気ガス削減効果もより大きくなるにもかからず、「購入制限や通行制限(による削減)ばかりやっている」と批判した。

 さらに、問題の根底には地方保護主義があるともしている。同市の企業が進んで開発しないHVに、新エネルギー車として補助や資金投入を行うことは、「他人の畑に肥料を撒く」ようなものとの認識があり、同市の企業が開発する電気自動車(EV)にばかり巨額の投資をしていると指摘。「誰が企業を地方政府の子どもにしたのか。こんなものは、地方政府がHVを拒絶する理由にはなり得ない」と断じた。

 そして最後に、各レベルの行政担当者に対して「厳しく自己を律したうえで職権を行使し、実情に即した仕事をするとともに、学びを強化せよ。そして、資源節約型で環境にやさしい社会づくりに努力せよ」と呼びかけた。

 行政と地元企業との関係をはじめとする各種の複雑に絡み合った利害関係が、中国のエコカー社会化の動きを鈍らせている。メンツや自らの業績づくり、他地域との競争のことしか考えなければ、エコカー政策は必ずや非効率的で不可解なものに終わるだろう。もはや環境保護がパフォーマンスだけで許される状況ではない。将来の美しい環境に向けた最善の策が何なのかを真剣に検討しなければならない。

 もちろん、同市がHVを飛ばしてEVの普及があらゆる角度から見てもベストという判断を下したのであれば、それは咎められるものではあるまい。しかし、その根拠を明確に示せなければ、いつまでたっても疑問の声が出続けることになるだろう。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)