中国では人件費の上昇にともない、中国製造業のこれまでの強みが失われつつある。こうした環境の変化を背景に、中国政府は製造業の高度化に向けた戦略「中国製造2025」を打ち出しており、中国国内ではにわかに「匠の精神」という言葉が注目を集めている。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国では人件費の上昇にともない、中国製造業のこれまでの強みが失われつつある。こうした環境の変化を背景に、中国政府は製造業の高度化に向けた戦略「中国製造2025」を打ち出しており、中国国内ではにわかに「匠の精神」という言葉が注目を集めている。

 中国製造業が高度化を実現するためには、細部までこだわり、手抜きをしない「匠の精神」が必要だという考え方だ。中国メディアの中国黄金網はこのほど、日本で行われた宝飾品の展示会に視察団の一員として参加したことを伝え、日本の精緻でありながら高額すぎない製品や実用的かつ細部まで周到な製品を見て、展示会の視察は「日本の匠の精神を考察する旅になった」と伝えている。

 記事は、「日本は世界的に有名な真珠の生産国だ」と伝え、中国でジュエリー関係の事業を行う業者の者の多くが日本で買い付けを行っていると紹介。真珠に限らず、日本のジュエリーは非常に精密であるとし、視察団の一員として来日した中国企業の関係者からも「中国国内にも似たようなジュエリーや素材はあっても、日本のように精緻なものは存在しない」との声があがったことを伝えた。

 さらに、日本ではジュエリーに限らず、食事や食器といった存在からも「使う人の立場に立って考えられている」ことを学び取ったようで、極端に複雑な素材を使用せず、それでいて最大限の機能を実現するというコンセプトは日本のジュエリーに共通していると論じた。

 また記事は、中国人一行が日本の大手貴金属メーカーを視察したことを伝え、同メーカーの売り場は無駄がなく、顧客をもてなす空間を実現していると同時に、売り場の空間を無駄なく使う効率の良い設計となっていたと驚きを示し、こういった点にも匠の精神が垣間見れたことを紹介している。

 近年、中国では日本企業との差を認識し、差を埋めようとする中国企業も増えている。課題意識を持つことは成長において必要不可欠だが、明確な課題意識を持つ中国企業はますます増えており、中国企業が「匠の精神」を身につければ日本企業にとっては油断できない競合相手になりそうだ。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)