台湾の李登輝・元総統が新著「余生:私の命の旅と台湾の民主の道」で、蒋経国元総統により政界で抜擢された際、蒋総統は李元総統には日本人の特徴を持っており、その特徴を「見てやろう」という気持ちだったと記述していたことが分かった。(写真撮影:サーチナ編集部)

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 台湾の李登輝・元総統が新著「余生:私の命の旅と台湾の民主の道」で、蒋経国元総統により政界で抜擢された際、蒋総統は李元総統には日本人の特徴を持っており、その特徴を「見てやろう」という気持ちだったと記述していたことが分かった。

 李元総統は1923年に、台北州淡水郡(現:新北市内)の農村部で生まれた。台北高等学校卒業後は、京都帝国大学農学部農業経済学科に進学した。1944年に学徒出陣となり、訓練後は後名古屋の高射砲部隊に陸軍少尉として配属され、終戦を迎えた。

 台湾に戻り、台湾大学農学部農業経済学科に編入学したが、台湾本島人(本省人)を弾圧した47年の2.28事件では粛清の対象になる可能性が高く、知人の蔵にかくまわれた。

 1950-53年、65-68年には米国に留学。台湾大学教授や農業行政の技術者として働いたが、1971年に蒋経国総統の知己を得ると、ただちに政務委員として入閣した。

 1984年には副総統に就任。88年に蒋総統が死去したため、総統に就任した。96年には台湾初の総統直接選挙を実現させ、当選した。

 李元総統は新著のなかで、自らが日本の武士道精神の影響を強く受けたと記述。具体的には「『私』という自分のためでなく『公』という大衆のために働くこと」、つまり「滅私奉公の精神」と紹介。

 蒋総統も、李元総統の「仕事に責任感がある。誠実。大風呂敷を広げない」など性格を理解し、「日本人の特徴を、(さらに)見てやろう」との考えで抜擢したという。

 李元総統は同著の中で、「現在は台湾人の8割以上が、中国との関係では『現状維持』を望んでいる」と指摘。台湾の「現状」とは、「すでに中国に隷属してはおらず、独立状態だ。台湾にある中華民国と中華人民共和国は個別の存在だ」と主張した。

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◆解説◆
 李元総統はこれまでもしばしば、「自分は日本の武士道精神の影響を受けた」と表明している。新著で改めて、「日本人の特徴」を強調したことは、上記記事は台湾だけでなく中国大陸のメディアも報じた。

 ただし、中国では一般に「武士道」に対する理解が極めて浅く「軍国主義の精神的支柱になった」程度の認識の人が多い。李元総統が「武士道精神の影響」を再び強調したことは、中国大陸部で李元総統に対する「非難の材料」とされる可能性が高い。(編集担当:如月隼人)(写真撮影:サーチナ編集部)