覚せい剤所持、刑罰の重さの決め手は?

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先日、プロ野球界の元スター選手だった清原和博さんが、覚せい剤取締法違反で逮捕されたという報道がありました。

覚せい剤で逮捕された芸能人といえば、ASKAさんや酒井法子さんなども記憶に新しいですが、皆さんは覚せい剤所持、自己使用の刑の重さがどのように決められているかご存知でしょうか。

今回は、覚せい剤の所持や自己使用に関する量刑(刑の重さを決めること)が、どのような要素を考慮して決められているかについて説明します。

「同種前科」があると刑が重くなる


覚せい剤の単純な所持、使用の事件は、初犯であれば、懲役1年6カ月、3年間執行猶予の判決が出るのが一般的です。
しかし、再び覚せい剤の事件を起こせば実刑の可能性が高くなり、その後は繰り返し起訴されるごとに刑期が長くなっていく傾向にあります。

具体的には、再犯者に対しては、執行猶予期間中再犯であれば懲役1年6月以下の実刑、その後は再犯の度に2カ月から4カ月程度の刑期の上乗せをしていくという、段階的な量刑がなされることが一般的です。
このように、覚せい剤事犯を繰り返すほどに刑が重くなる主な理由は、処罰を重ねることによって、前科の刑がその人の心に与える影響力が存在するため、その影響力を無視して再び行為に及んだ際には、責任が加重されるからであると考えられています。

要するに、前回の刑で反省をせずに再び同じことを繰り返せば、それだけ重く処罰されるのです。

では、前に覚せい剤で事件を起こしたのが20年も前の出来事だったらどうでしょうか。
このように、同種前科による処罰が相当前のケースでは、同種前科があるからといって単純に実刑になるということは多くありません。
これは、前刑からの時間の経過によって、刑がその人に与える影響力が弱まるためであると考えられます。

その他、量刑に考慮されることとは


その他の判断要素としては、覚せい剤所持罪については所持量、覚せい剤自己使用罪については、常習性や使用態様も考慮要素となります。また、いずれについても、入手経路を明らかにしたか否かも考慮要素になります。

一方、覚せい剤を営利目的で所持していた場合には、覚せい剤の単純所持罪よりも刑が重く定められています(覚せい剤取締法41条の2第2項)。
その理由は、覚せい剤の所持が営利目的で行われる場合には、その覚せい剤が社会に広まっていく可能性が高く、行為の社会的危険性が高いからであると考えられています。

まとめ

覚せい剤の所持、自己使用の量刑判断において、最も重視されるのは同種前科。その他の考慮要素は、量刑判断を調節する役割を果たすのが現在の実務。

そして、覚せい剤所持、自己使用で判決を受けた後、再び覚せい剤に手を染めれば実刑の可能性が高まり、刑も重くなっていく。

覚せい剤は依存性の高い薬物であり、最初に執行猶予付きの判決を受けた後、同じことを二度と繰り返さないということが重要なポイントに。


執筆・監修:吉浦くにか(弁護士)