1月中旬に発表されたFIFAベスト11。選ばれた選手の名前を元に布陣化すれば、4−3−3であることが分かる。投票したのは選手で、その数は2万人にのぼるそうだが、布陣は最初から4−3−3に設定されていたのだろうか。得票数の多い順に並べた結果、4−3−3になったという感じではない。投票は主催者の意図にしたがう形で行われたのだろう。布陣の縛りを外し、得票数順でベスト11を選べば、顔ぶれの3分の1は入れ代わっていた可能性がある。

 Jリーグのベスト11についても、同様な疑問を感じるが、サッカーには布陣がいくつも存在すること、そして11あるポジションに絶対性がないことがその背景にある。たとえば、野球はその対極に位置する。布陣は1つで、9つあるポジションも不変。ベスト9は選びやすい。つまり、サッカーのベスト11には、野球のベスト9より異論の余地が格段に含まれている。そこに議論のとっかかりが潜んでいる。

 メッシ、ネイマール、クリスティアーノ・ロナウド。FIFAベスト11のFWはこの3人だ。内訳はバルサ2人にR・マドリー1人。C・ロナウドが外せない選手であることは承知しているが、メッシ、ネイマールと来れば、3人目はオートマチックにスアレスを推したくなる。投票でFW部門の4番手は誰だったのか。もしスアレスなら布陣は、4−3−3より4−2−4の方が妥当ではないか。バルサの魅力を語ろうとした時、3人はセットでなければならない。誰も外せない。チーム力という視点に立てば、スアレスこそが外せない選手になる。

 これほどお互いの関係に気を配ろうとするFW3人組はいただろうか。バルサ史上では最高。近年3FWのチームが急増しているとはいえ、歴史的にも世界的にも稀なケースだ。

 ゴールシーン中心のスポーツニュースやネットの動画を情報源に求めるならば、彼ら3人組の魅力は伝わらない。目は各個人に向きがちだ。「1+1+1」でバルサを語ろうとするが、それはその強さの秘密ではない。そこのところをハッキリさせる意味でも、3人セットで選んで欲しかった。その魅力に乏しいのがライバルチームのマドリーだ。C・ロナウド、ベンゼマ、ベイル。3FW個々の力量は、バルサの3人に比肩するも「1+1+1」はあくまで3。それぞれ単体でプレイするので、プラスアルファの要素が少ない。お互いがお互いを気遣ったり、協力したりする様子はないのだ。仲良し度という点で、バルサの3人組に劣る。

 実際に仲良しかどうか、もちろん知る由もないが、そう見える理由はポジションをカバーし合う姿にある。左・ネイマール、真ん中・スアレス、左・メッシ。この基本ポジションを大切にしようとする。誰かがズレれば、誰かがそこをカバーする。一番のズレたがり屋はメッシで、真ん中に入ろうとする。すると、スアレスがパッと開く。3人で解決できない場合は、ラキティッチや両サイドバックも加わるが、3人は絶えず自らのポジションに気を配りながらプレイしている。左、真ん中、右の関係の維持に務めている。

 日本でこの3者のような関係を見ることは難しい。何より文字通りの4−3−3が少ない。FWを3人高い位置で開いて構えさせるチームが少ない。左右が明確に分かれているのはサイドバック、ウイングバックのみ。低い位置のみだ。高い位置で左右、真ん中の重要性を解く人はいない。流動的な動きを肯定する人の方が断然多い。だが、それは言ってみればマドリー的だ。C・ロナウド、ベンゼマ、ベイルの「1+1+1」の関係に近い。

 日本代表でバルサに近かったのは、ザックジャパンの初めの頃。4−2−3−1の3の列に並ぶ香川、本田、岡崎(左から)の3人の中で、香川はしきりに内へ入りたがった。ポジションを無視するかのように。そこでスッと外に開いたのが本田。当時の彼には、メッシに対するスアレスのようなところがあった。本田と香川は一見、仲良し度の高い関係に見えた。だが、本田は年々、自分のプレイに手一杯になっていく。バランスに気を配る余裕がなくなっていった。その結果が、2014年ブラジルW杯になる。左右のバランスの悪さが致命傷になったーーといっても過言ではない。

 1+1+1を3に終わらせるか。あるいはバルサのように、それにプラスアルファを加味することができるか。ジダン監督率いるマドリーで、真っ先に目を凝らしたい点になる。

 いまから12シーズン前、03〜04シーズンのチャンピオンズリーグ準々決勝だった。対戦相手はモナコで、ジダンはマドリーの一員として、その4−2−3−1の3の左として出場した。しかし、その6、7割の時間、真ん中の位置にいた。すなわち、ジダンと対峙しているはずのモナコの右サイドバック、イバーラは、攻撃参加がしやすい状況だった。2014年ブラジルW杯で初戦を戦ったコートジボワールの右サイドバックのように。

 モナコに逆転弾となる決勝ゴールが生まれたのは、その右SBイバーラの攻撃参加からだった。その光景をピッチの真ん中で呆然と見つめていたジダン。自身がそこにいなかったことで招いた番狂わせを、一人の監督としてどう考察しているのか。CL初采配となるローマ戦(決勝トーナメント1回戦)を控えたいま、気になるところだ。