日本銀行がマイナス金利を導入したことで、2月9日、長期金利が初のマイナスをつけた。翌10日には日経平均が1万6000円を割り込み、11日にドル円相場は海外市場で110円台にまで上昇した。

 新聞各紙は〈日経平均918円安〉〈預金金利下げ加速も〉と見出しを立て、〈マイナス金利政策の副作用への不安が高まっている〉(朝日新聞)と先行きへの不安を煽った。国会では民主党の細野豪志氏が「マイナス金利によってこれだけの株安、円高だ」と日銀を非難した。

 あたかも「マイナス金利が株安を招いた」との印象を受けるが、「円高、株安に振れているのは、マイナス金利とは無関係」と断じるのは、第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣氏である。

「ドイツ銀行の2015年の最終赤字が過去最大の68億ユーロ(約8800億円)に拡大して信用不安を招いたのに加え、米国の景気減速懸念、中国経済の先行き不透明感、さらに原油安への懸念が広がった。円が買われ、株が下がったのはこれらの要因によるもので、決してマイナス金利が原因ではない」

 それどころか、マイナス金利にしていなければ、より深刻な事態に陥っていた可能性が高いという。

「他の国はもともと金利が高いため、リスクを回避しなければならない状況になると、日本以上に金利の下げ幅が大きくなる。日本の金利も下がっているけれども、それ以上にアメリカやヨーロッパの金利が下がったから円高になった。仮にマイナス金利でなかったらもっと円高、株安が進んでいた」(永濱氏)

 マイナス金利だからこそ、円高・株安は今のレベルで留まっているのである──そんな見立てである。

※週刊ポスト2016年2月26日号