中国メディアの新京報によると、新疆ウイグル自治区観光局の幹部が、同自治区北西部の天山山脈の「氷河観光」を撤退させていく考えを明らかにした。温暖化の影響で、同氷河は50年後には8割から9割が消失する可能性がある。また、飲ごみで汚される問題も発生しているという。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディアの新京報によると、新疆ウイグル自治区観光局の李冀東・共産党委員会書記が、同自治区北西部の天山山脈の「氷河観光」を厳しく規制して撤退させていく考えを明らかにした。温暖化の影響で、同氷河は50年後には8割から9割が消失する可能性がある。また、飲料の瓶や食品の包装などのごみで汚される問題も発生しているという。

 複数国にまたがる天山山脈のうち、中国の新疆ウイグル自治区内の自然保護区4カ所は2013年、ユネスコの世界遺産リストに登録された。美しく多彩な山岳景観や独特の生態系が評価されたためで、現状から大きく変化して「価値を減じた」と評価された場合、登録取り消しの事態もありえる。

 新疆ウイグル自治区など中国北西部の乾燥地域では過去50年間、全世界の平均より速い、10年当たり摂氏0.33-0.39度で気温が上昇している。

 そのため、新疆ウイグル自治区に存在する氷河が、急速に減少している。中国科学院新疆生態と地理研究所の陳曦研究員によると、同自治区の氷河は過去30年で15%-30%減少しており、20年後には60%、50年後には80%-90%が消失すると予測できるという。

 天山山脈の氷河は、南極大陸やグリーンランドのように大規模なものではなく、むしろ「規模の大きな万年雪」との印象を受ける。陳研究員は、規模の小さな氷河の方が、気象変動の影響を受けやすいと説明した。

 自治区観光局共産党委員会の李書記は、観光客が氷河を訪れる「氷河観光」で過去十数年間に得られた収入は10億元(2016年2月のレートで約17億2400万円)程度である一方、氷河が崩壊したり、消失した場合の損害は計り知れないと、保護強化の考えを明らかにした。

 現地における水の循環において、氷河は「氷のダム」の役割を果たしており、氷河の大部分が消失した場合には、降水が少なくなれば、すぐに旱魃になったり、雨が続けば途端に平地部分の川が増水して洪水が発生するなど「極端な気象現象」が発生しやすくなるという。

 李書記は、氷河が現存する地区に設けられた観光施設を撤退させ、「氷河を遠くから眺めることのできる施設」に転換していく考えを示した。

 観光客の多い氷河では、飲料の瓶や食品の包装が放置されるなどの、ごみ汚染の問題も発生しているという。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)