風邪の原因となるウイルスには、心臓の筋肉(心筋)にダメージを与える心筋炎を起こすものもある。そんな状態で心臓に負担のかかる水泳やマラソン、過度の飲酒などをすれば、突然死を招きかねない。
 東邦大学医療センター大森病院循環器センター心臓外科の外来担当医は言う。
 「心筋炎は薬や放射線、妊娠などでもかかりますが、原因のほとんどがウイルス。コクサッキー、エコー、アデノなどの風邪ウイルスが知られています。発熱、頭痛、倦怠感、下痢や腹痛といった風邪症状に加え、血圧が下がるのが特徴。動悸や胸部の痛み、不整脈などが起きることもあります」
 ただし、心筋炎の中には症状が出ないものもある。多くは自然回復するが、まれに心臓の動きが低下する慢性の心筋障害を起こす人もいるという。

 もう一つ、この寒い時季に増える呼吸器の病気も侮ってはいけない。特に長く続く咳は、安眠を妨げ体力を消耗させる。さらに治療が遅れると、こちらも死に直結する重大病となる可能性がある。
 そのため「“たかが咳”と考え、専門医の診断を受けない人は少なくありません」と言うのは、アレルギーの専門医だ。
 「まず、患者さんの咳の原因が何かをチェックします。目安は3週間で、急性(3週間未満)、遷延性(3週間以上)、慢性(8週間以上)の3つに分けて考えます。急性の場合はウイルス感染によるもので、一般のクリニックでも対応できますが、遷延性や慢性になると、単純なウイルス感染ではない可能性も考えられます」
 可能性が高いのは、成人の喘息だ。胸がゼーゼーヒューヒューと鳴るため、すぐに診断がつくが、初期症状は喘息を伴わないことも多い。喘息は適切な治療を受けなかった場合、呼吸困難を起こし命を落とすことがある。重症患者に限らず、軽症や中等症でも急性憎悪を起こし入院に至るまで悪化する可能性があることも知っておこう。

 もうひとつ、要注意なのが咳喘息。治療が遅れると、完治が難しい喘息に移行する可能性があるので、早期治療が肝心だという。喘息と咳喘息、いずれの治療も、吸入ステロイドと気管支拡張剤の合剤を用いることが多い。
 喘息、咳喘息以外では、マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎なども重篤な病気につながる。専門家によれば、風邪に代表される呼吸器の感染症は、心臓発作や脳卒中などの発症リスクを2〜3倍も増大させるといった研究報告が、英国の医療機関から寄せられている。

 “万病”となる前に、早めの対処を心掛けよう。