13億年前の「ブラックホールの合体」で生じた重力波、検出される(動画あり)

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13億年前のブラックホールの合体によって発生した重力波を、米国の研究施設LIGOが世界で初めて検出した。LIGOによる説明動画を紹介。

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レーザー干渉計重力波検出器「LIGO」(Laser Interferometer Gravitational Wave Observatory)を使った実験を続けている科学者らが2月11日(米国時間)に大規模な記者会見を開催し、重力波を世界で初めて検出したことを明らかにした。重力波とは、重力の強い相互作用が生み出す時空のさざ波のことだ。

この波は、ブラックホールの合体が起きる最後の瞬間に発生したもので、2015年9月14日午前5時51分(米国東部時間)に地球に到達し、ルイジアナ州リヴィングストンとワシントン州ハンフォード・サイトに設置されているLIGOの検出器によって捉えられた。ルイジアナ州の検出器の方がこの信号を数ミリ秒早く捉えた(以下の画像)ため、この重力波を発生させた事象は南半球の方向で起こったことになる。

LIGOの研究チームは、検出した信号の解析結果から、今回の重力波の元になった事象が起こった時期を13億年前と推定している。このとき、質量が太陽の29倍を超えるブラックホールと、36倍を超えるブラックホールが、らせん状にぶつかって合体。この合体が起きた直後に、太陽の3倍に相当する質量がエネルギーに変わり、重力波となって放出されたという。この信号が発生した事象によって、ほんの一瞬の間に、可視宇宙の残り全部が合体したときよりも強力なエネルギーが生み出されたことになる。

このような事象が発生することはきわめてまれだ。だが、そのひとつの検出に成功したという事実は、今後同じような事象がいつ発生しても捉えることのできるハードウェアを手にしたことを意味する。新しい波長を観測する能力を手にしたようなものだと言えるかもしれない。

ブラックホールの専門家であるキップ・ソーンは次のように述べている。「今回の新しい発見により、われわれ人類は驚くべき新たな探求の旅に乗り出すことになる。これは、宇宙の“ゆがんだ側面”を探求する旅、つまり、時空のゆがみによってつくり出される現象を探求する旅となる」

LIGOでは、この天文学研究の精度をさらに高めるため、同じようなアプローチで研究を行っている欧州の検出施設「VIRGO」と提携する予定だ。また、日本も同様の検出施設「KAGRA」を計画しているほか、インドにLIGOのような検出施設を建設する交渉が進められている。4つの検出施設が稼働すれば、重力波を発生させた事象について、「南半球のどこか」ではなく、さらに正確な場所を発表できる日が来るかもしれない。

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