広東省広州市と深セン市、香港特別行政区を結ぶ広深港高速鉄道のうち、香港部分での建設工事の継続を危ぶむ声が高まっている。香港政府高官も9日、予算が通らないと「工事が中断するか、極端な場合には未完成に終わってしまうリスクがある」と危機感を示した。(イメージ写真提供:(C)Guo Zhonghua/123RF.COM。中国の高速鉄道車両。広州駅で撮影)

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 広東省広州市と深セン市、香港特別行政区を結ぶ広深港高速鉄道のうち、香港部分での建設工事の継続を危ぶむ声が高まっている。香港政府高官も9日、予算が通らないと「工事が中断するか、極端な場合には未完成に終わってしまうリスクがある」と危機感を示した。

 広深港高速鉄道は、中国大陸部部分でも、工事そのものや地元政府の調整の問題で、建設工事が遅れた。着工は2005年で、当初予定では2011年には大陸部分を開業するはずだったが、香港に最も近い福田駅までの延伸ができたのは2015年12月30日だった。

 一方の香港では、大型インフラ建設関連で予算超過が目に余るとして、「民主派勢力」から、高速鉄道の建設に反対する声が高まった。香港立法会(香港議会)は、香港政府としての予算拠出を決議したが、その後、建設プロジェクトが延期や予算超過を繰り返したことで、追加予算が可決されていない。

 民主派勢力から反対の声が高まっているのは、中国大陸側との過度の接近を警戒する考えが、背景にある。

 香港では2015年10月から、中国当局に批判的な書物を扱う「銅鑼湾書店」の店長など関係者5人が相次ぎ失踪する事件が発生した。香港を出るための正規の通関手続きをした記録がないにもかかわらず、失踪した1人は16年1月になり、なぜか中国のテレビに登場し、12年前の「飲酒運転による死亡事故」を償うために中国大陸当局に出頭したなど、不自然な説明をした。

 また、香港と大陸を結ぶ高速鉄道では、大陸と香港の往来で、従来はそれぞれの当局が「入境/出境審査」を行っていた方式を簡略化し、「1回の審査」ですませる方式が考えられている。いわゆる「一地両検」だ。香港の「民主派勢力」は、高速鉄道が開通し、香港側の権利放棄とみなすことのできる「一地両検」が実現すれば、大陸の香港に対する干渉がさらに高まると認識している。

 一方で、大陸から香港への旅行客に減少傾向があることから、香港側の関連業界からは、高速鉄道の早期完成を望む声が高い。

 香港特別行政府運輸及房屋局(運輸建設局)の張炳良局長は9日、立法院議員(香港議会議員)に対して、追加予算決定の審議を急ぐよう呼びかけ、「さもないと工事が中断するか、極端な場合には未完成に終わってしまうリスクがある」と危機感を示した。

 張局長は、「一地両検」については、香港の地位を定めた「香港基本法」や「一国二制度」の原則に違反しない形で実現が可能と主張。香港政府は「一地両検」の実現を目指していると述べた。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Guo Zhonghua/123RF.COM。中国の高速鉄道車両。広州駅で撮影)