2018-0426
2013年にアメリカ市場で上場を果たし、日本でも多くの人がインフラ的に活用している、チャット的なミニブログことツイッター(Twitter)。今回はそのツイッターを運営するツイッター社の売上推移などについて、【アマゾンドットコムの売上推移などをグラフ化してみる】にて用いた取得方法を流用し、ツイッター社の上場時の登録届出書「S-1」や上場後の決算書類(年次報告書)「10-K」など各種財務関連の報告書を取得し、そのデータを基に売上などの財務動向をグラフ化し、状況の確認をしていくことにする。

赤字は続くが規模はゆっくりと拡大の方向に、そして…


データの取得方法は先の記事【ツイッターのアクセス動向をグラフ化してみる】で言及した通り。ツイッターのサービス自身は2006年7月から開始されているが、「S-1」「10-K」「10-Q」で取得できるのは2010年以降のみ。もう少し過去にさかのぼったデータも欲しいところだが、現時点ではこれが限界である。なお日本の企業と比較する場合は、それぞれの年の為替レートを考慮した方がよい場合もあるが、今回はツイッター社自身の動きを確認するので、その作業は不要。

なお今回は先行記事のアクセス動向同様、SECに公開される報告書を待たず、ツイッター社の公式ページで公開された各種決算資料(直近分は2018年4月25日発表、2018年第1四半期(Q1、1月から3月)分)をもとに、必要な最新の値を抽出、あるいは算出して精査を行う。


↑ ツイッター社の売上と営業利益率(2010年以降、年次)

営業利益率」とは「売上高営業利益率」のこと。売上と営業利益の関係を示しており、「総売上で営業損益を割る」ことで算出される。この値は「本業の稼ぎにおける効率のよさ・悪さ」を示しており、高いほど本業が効率よく稼げていることを意味する。もちろんマイナスならば本業は赤字。

グラフの動向からも分かるように、売上高は累乗的に増加する一方、営業利益率はマイナス圏を推移、つまりツイッター社は本業の上では赤字を計上し続けているままだった。しかし直近の四半期分を反映した2017年分では、前年比で総売上こそ減少したものの、営業利益率は初のプラス転換を果たすこととなった。

累積赤字(Accumulated deficit)は2018年3月末時点で25億9867万2000ドル(約2841億円、1ドル109.32円で換算)にのぼっている。無論グラフの動きを見れば分かる通り、収益状況はともあれ売上は上昇し続けており、さらに直近年では営業利益がはじめてプラス、つまり本業の稼ぎで黒字を計上することができた(四半期単位では2期連続黒字計上)。上場で得た資金を用いて各種投資をした上で、さらなる規模の拡大と収益改善を図る目論見のようだ。収益構造の改善模索は最近の四半期決算短信資料で繰り返し語られており、それがようやく数字となって表れてきた形ではある。

各種営業指標をグラフ化


続いてアマゾンの事例同様に、「総売上」「売上原価」「営業費用」「営業損益」「純損益」の推移もグラフ化する。8年分のみだが、それなりに同社の動向が把握できる。

↑ ツイッター社の「総売上」「売上原価」「営業費用」「営業損益」「純損益」(単位・億ドル)
↑ ツイッター社の「総売上」「売上原価」「営業費用」「営業損益」「純損益」(単位・億ドル)(年次)

「総売上」と「売上原価」の差、つまり「粗利」はそれなりに大きなものになりつつあるが、「営業費用」がかさんでいることもあり、「営業損益」、そして「純損益」がマイナスに落ち込んでしまっているのが分かる(「営業損益」「純損益」にはあまり差異が無いため、一部グラフ上で被ってしまっている)。

直近の2017年では「総売上」がいくぶん落ちたが、それ以上に「売上原価」、そして何よりも「営業費用」(「売上原価」に各種販管費を足したもの)を落としたことで、収益構造を改善し、「営業損益」をプラスに転じさせた実情が分かる。もっともそれでもなお「純損益」はまだマイナスのままだが。

ちなみにツイッター社では現時点で売上を「広告費」と「データライセンス代(など)」の2つから計上している。「ツイッターのアクセス動向をグラフ化してみる」でも触れている通り、利用者の増加、中でもモバイル経由の利用者の急増に伴い広告売上も増加し、2017年時点では総売り上げのほぼ9割が広告費で占められている。

↑ ツイッター社の売上詳細(万ドル)
↑ ツイッター社の売上詳細(万ドル)(年次)

↑ ツイッター社の売上詳細(項目比率)
↑ ツイッター社の売上詳細(項目比率)(年次)

今後はスマートフォンやタブレット型端末などのモバイル系を中心に、ツイッターのデータをマーケティングなどに活用する企業などが増えてくることから、データライセンス代の売上は堅調な伸びを示していく。そしてそれ以上に利用者、特にモバイル経由の利用者が増加し、既存利用者の利用密度が高まることから、広告売上も増していくのは間違いない。

ツイッターが広告依存型のビジネスモデルで成り立っていること、売上が上昇の一途をたどっていることに違いは無く、成長が続いているのが分かる。ただし広告ビジネスは既存のサービスでもその多くで頭打ち、行き詰まりを見せていることもあり、それ一本に限らない収益構造を構築する必要があることは言うまでも無い。データライセンスがその一つだが、それだけで無く、インフラ的な立場にあるツイッターだからこそできる付加価値、機能の添付の模索も求められよう。

先行するアクセス動向の記事にもある通り、CEO(最高経営責任者)のJack Dorsey氏は「今四半期は好調だった。利用者は増え、DAU成長率は2ケタ台の成長を示している」と言及、CFO(最高財務責任者)のNed Segal氏も「利用者の増加やROIの向上、販売実勢の堅調化で、売上は前年同期比で21%増、広告収入は28%増を記録した」とし、利益構造が良好になりつつあるとコメントしている。

また報告書では特記事項として「日本は(アメリカ合衆国に続き)2番目に大きな市場であり、ツイッターの日本における直近四半期の売上は前年同期比でプラス61%、1億1700万ドルで、全売上の18%」「アメリカ合衆国以外の市場における広告売り上げの堅調さは、主に日本の動画と中国の広告市場によるもの。この傾向は今後も続くことが予想される」とし、日本におけるツイッターの位置づけが財務面でも無視できない実情にあることを記している。

↑ ツイッター社の売上詳細(万ドル)(直近3年間、四半期単位)
↑ ツイッター社の売上詳細(万ドル)(直近3年間、四半期単位)

↑ ツイッター社の売上詳細(項目比率)(直近3年間、四半期単位)
↑ ツイッター社の売上詳細(項目比率)(直近3年間、四半期単位)

上場を果たしたものの、利益を得られる構造の構築に難儀し、続々登場する新規競合サービスとの争いの中で苦戦を強いられていることは否めないツイッター社。利用者の注力を維持しつつ、自社サービスの特性を活かして安定した収益モデルを確保し、どのような姿に変貌していくのか、あるいはスタイルを維持し進化していくか。その動向を見守りたいところだ。