便秘がちで下剤を使用している人は、脳・心血管疾患リスクが高いようだ。大阪大学医学部公衆衛生学教室の研究から。

 本研究は1988〜90年に、心血管疾患や脳卒中の既往がない日本在住の男女7万2014人(男性2万9668人、女性4万2346人、40〜79歳)対象のデータを基にしたもの。調査開始時に排便回数と下剤の使用の有無を質問した後、2009年まで追跡している。

 追跡期間中、977人(男性561人、女性416人)が冠動脈疾患で、2024人(男性1028人、女性996人)が脳梗塞・脳出血で亡くなった。

 年齢の影響を調整して検討すると、排便回数が2、3日に一度がやっとという男性は、毎日排便する男性に比べ、心血管死や脳卒中死リスクが有意に高かった。しかし、高血圧や2型糖尿病の既往歴など他の危険因子の影響を調整すると、その差は消滅している。

 一方、下剤使用との関連を調べると、女性の下剤使用者は冠動脈疾患死のリスクが非使用者の1.28倍、男性は1.56倍にのぼった。また、女性ではむしろ下剤使用と脳血管が詰まる虚血性脳卒中との関連が強く、非使用者との比較では1.45倍であった(男性は1.37倍)。

 研究者らは、「便秘がちで下剤を使用している人は、糖尿病や精神的ストレス、運動不足など脳・心血管疾患リスク要素を高率に抱えている」と指摘し、特に「下剤の使用は、男性の冠動脈疾患死と虚血性脳卒中死、女性では虚血性・出血性脳卒中死と強く関連する」としている。

 国民生活基礎調査(平成25年)によると、便秘を自覚している人の割合は男性26.0、女では48.7(1000人対)。しかし、男性の割合は50歳を過ぎたころから上昇する傾向にあり、脳・心血管疾患の好発年齢と重なる。便秘がち=脳・心臓への黄色信号と心して生活習慣を見直してみよう。

 便秘と脳・心血管疾患リスクの両者を改善するには食物繊維を摂り、適度に腹筋運動を行うといい。散歩やジョギングを追加すればストレス解消との一石二鳥である。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)