経済産業省がまとめた「自動車産業戦略」によると、電動車(EV、PHV)の比率を2020年に全体の15〜20%、2030年に20〜30%に拡大するとしています。

BMWやVWなどの欧州自動車メーカーがPHVのラインナップ拡大で日本市場に攻勢をかけていることもあり、国内でも電動車の航続距離拡大に向けた次世代リチウムイオンバッテリーの開発が活発化しているようです。

(出展 トヨタ自動車)

一般的な電動車の一充電あたりの航続距離はEVの場合、JC08モードで200km台、PHVの場合は30km前後が主流の状況。

将来、電動車がガソリン車にとって代わるにはEV(常時モーター走行)、PHV(部分モーター走行)ともに航続距離の拡大が必要不可欠となっています。

各自動車メーカーは当面の目安として航続距離の倍増を目指しているようで、年内の登場が予想される新型プリウスのPHVモデルについても、モーター走行距離が現行モデル(26.4km)比で倍増するとみられています。

また日経新聞によると、三菱自が2020年を目処にEVの航続距離を400kmにまで伸ばす計画のようで、そのためにエネルギー密度を現行の2倍にあたる200Wh/kg程度にまで向上させる必要があるとしています。

MITSUBISHI_eX-_Concept

日立グループでは正極にNi(ニッケル)を使う「ハイニッケル層状酸化物」、負極に炭素材料を使った試作品で既に200Wh/kg超を達成しているそうで、2020年以降の実用化を想定した検討を進めているそうです。

またBMWはベンチャーの米Sila Nano社の協力を得て負極に炭素材料に代わるSi(シリコン)系材料を使うことで更に上を行く300Wh/kg超えを目指しているとか。

TOYOTA_BMW

同社は3年前にトヨタ自動車とポスト・リチウムイオンバッテリーの開発で技術提携しており、その実現が期待されます。

ホンダも正極に三元系材料(NMC:ニッケル・マンガン・コバルト)、負極にSi系材料を採用することでエネルギー密度の向上を目指しているそうで、2030年頃を目処に電解質に固体材料を用いる全固体バッテリーの実用化についても検討している模様。

このように次世代バッテリー開発競争が世界的に本格化しており、EVやPHVの普及加速に向けた地盤固めが着実に進んでいるようです。

Avanti Yasunori

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