11日のロンドン外国為替市場で一時1ドル=110円台後半に上昇し、日銀が追加金融緩和に踏み切った2014年10月31日以来の高値を付けた。東証株価が1万5000円の攻防となるのは必至で、アベノミクスは「風前の灯」の危機に直面している。写真は日本銀行。

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円高・ドル安の勢いが止まらない。11日のロンドン外国為替市場で一時1ドル=110円台後半に上昇し、日銀が追加金融緩和に踏み切った2014年10月31日以来の高値を付けた。円相場は日銀がマイナス金利政策導入を発表した今年1月29日に付けた1ドル=121円70銭から約2週間余りで11円近く上昇したことになる。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が10日の議会証言で、3月の追加利上げを先送りする方針を示唆したため米経済の減速が改めて認識され、外国為替市場では、「ドル高・円安」のシナリオが崩れた。市場筋によると、中華圏の春節(旧正月)や日本の建国記念日の休場による「薄商い日」を狙い、ヘッジファンドが円買い攻勢を仕掛けてきたという。

米利上げ先送り観測からドル金利が低下。日銀がマイナス金利の導入を打ち出したにもかかわらず、日米の金利差が縮小。さらにドイツ銀行などを欧州の銀行不安、原油安、中国経済の変調などがくすぶり、比較的安全とされる円にマネーが逃避した。

その結果、アベノミクスの一枚看板である「円安・株高」の流れが逆流し、日銀のマイナス金利導入決定も裏目に作用。「円相場115円、東証株価1万6000円」の防衛ラインはあっさり崩壊してしまった。市場筋によると、「東証株価は1万5000円の攻防となる」という。

2015年12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業の想定為替レートは1ドル=119円40銭。大幅な円高が定着すれば、自動車や電機などの輸出産業を中心に企業業績には逆風となるのは必至だ。アベノミクスはまさに「風前の灯」の危機に直面している。(八牧浩行)