30年ぶりの新TVシリーズルパン三世、第18話は「始まりの晩餐」。タイトルからして意味深。


ミラノで行われるファッションショーの会場に、ルパンたちの肖像画が勝手に描かれるという騒ぎがあった。同時にイタリアのあちこちで、銭形警部や“ルパンの元妻”レベッカ、“元MI:6”ニクスらの肖像画が発見される。鑑定の結果、それらの肖像画はイタリアが生んだ万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの筆だということがわかった。

ミラノとダ・ヴィンチのかかわりといえば、すぐに浮かぶのがサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会にある名画「最後の晩餐」。イエス・キリストが12人の弟子とともに晩餐を行っている姿を描いたものだ。この教会は世界遺産として認定されている。

教会に向かうルパンたち。すると、教会の中にはルパン、次元、五エ門、不二子、銭形、レベッカ、執事のロブソン、ニクス、MI:6でニクスの上司だったパーシバルの9人の肖像画が並んでいた。その前で9人は「最後の晩餐」さながらの晩餐を行うのだ。

食事をしながら次々と謎を解き明かしていくルパン。これまでの伏線をときほぐしながら、晩餐を用意した人物、そして自分たちの肖像画を描いた人物を特定していく。そう、ルパンの敵はダ・ヴィンチご本人様!

実際は、MI:6がクローン技術でつくりあげた肉体に、第12話「イタリアの夢 後編」に登場した天才学者・浦賀航が研究していた、人々の潜在意識から抽出した過去の偉人たちの記憶を移植したというシロモノ。つまり、れっきとしたクローン人間だ。

これぞMI:6による「世界最強のエージェント育成プログラム」。映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』のように、ヒトラーやナポレオンもクローンとして蘇らせてエージェントとして採用するつもりだったのだろう。しかし、偉大なるダ・ヴィンチはMI:6から全裸で脱走、めざわりなルパンやMI:6を挑発していたのだ。

自作の飛行機(ダ・ヴィンチは1500年代初頭の段階で飛行器具も考案していた)で世界遺産の教会を破壊しながらミラノ上空へと飛び立つダ・ヴィンチは、ルパンに向かって「この世界を設計し直す」と言い放つ。見る影もなく衰えたローマ帝国の威光を現代に蘇らせるためだ。

「ったく……芸術家ほどタチの悪い人種はいねーな。お前が何しようが知ったこっちゃねーけど、俺の肖像権を勝手に侵害した貸しだけは返してもらうぜ!」

というわけで、ルパンがダ・ヴィンチを敵に回した理由は、やっぱり“ルパンのプライドを傷つけた(カンにさわった)”ことだったりするのである。

実は五エ門は女装が好き?


ダ・ヴィンチを登場人物(しかも敵役)にするなんて大胆な! と思う人もいるかもしれないが、そもそも『ルパン三世』の主要な登場人物は、怪盗アルセーヌ・ルパンの孫だったり、石川五右衛門の十三代目だったり、銭形平次の子孫だったりと、虚実とりまぜて過去からの引用で構成されているのだから、別に何の不思議もなかったりするのである。日本が舞台なら、織田信長あたりが蘇ってルパンと戦う話になるんだろうか(だと考えると、やっぱりそれほど不思議でもない)。

ひとつどうでもいい話。ミラノのファッションショーの会場に忍び込む際、五エ門がスーツ姿になるのを断固拒否するシーンがあるが、これまでには幾度となく変装のために着替えており、TV第2シリーズ「女刑事メロン」やTVスペシャル『ルパン三世 お宝返却大作戦』などでは女装まで披露していたりする(同スペシャルには実在の建築家、アントニオ・ガウディが登場していた)。また、山上正月のコミック『ルパン三世Y』では、素顔にウィッグをつけただけの姿で “メイドのユミちゃん” に変装している。意外と五エ門は女装が好きなのかもしれない。

さて、今回の『ルパン三世』は、1クール目のテーマが「愛」で2クール目のテーマが「芸術」だということがシリーズ構成と脚本を務める高橋悠也によって明かされている。今話では、これまでの謎も(だいたい)解き明かし、2クール目の結末に向けて「始まりの晩餐」を行ったというわけ。何重にもネタが仕掛けられていることはわかったが、かなりシリーズを熱心に追っていないとわかりにくかったエピソードかもしれない。

今夜放送の第19話「龍は静かに眠る」は、「ドラゴンズテイル」をMI:6とルパンが争うというお話。やっぱりMI:6は悪者扱いなのね。ダ・ヴィンチとの絡みも注目だ。チャンネルは決まったぜ。
(大山くまお)