がん医療の常識が変わるかもしれない(写真はイメージ)

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【羽鳥慎一モーニングショー】(テレビ朝日系)2016年2月3日放送
「がん細胞を一つ一つ撃退する放射線治療はできないのだろうか?」

今日、がんの治療として行われている放射線治療は、体の外から放射線を当てて体内のがん細胞に届かせる。しかし、がん細胞の手前に正常な細胞があると、それも傷つけてしまうのが難点だ。

テレビ朝日のコメンテーター、玉川徹は京都大原子炉実験所を訪ねた。現状の放射線治療の弱点を解決する「ホウ素中性子捕捉療法」を、鈴木実教授に聞いた。

がん細胞が取り込みやすいホウ素の薬剤を投与

鈴木「がん細胞が取り込みやすいホウ素の薬剤を、全身に点滴で投与して、がん細胞にできるだけホウ素の薬剤が集まった状態を準備します」

次に、加速器という機械を使って中性子を体に照射する。中性子はホウ素と反応すると重粒子線が発生するが、これはがん細胞を破壊する力が強い。しかも、細胞内で発生した重粒子線が届く距離は、その細胞1個分にとどまるため、隣に正常な細胞があってもそこまで届かない。いわば、がん細胞だけを狙い撃ちできる治療法なのだ。

玉川「治療成績はどうなんでしょう」
鈴木「脳腫瘍や頭頸部腫瘍は......従来よりは良い成績が出ています」

まだ症例数が少ないが、将来性は期待できる。現在、臨床試験の最終段階にある。気になる副作用についても、がん細胞だけを破壊して正常な細胞への放射線量を低く抑えられるので、小さくできるようだ。

ただ、現段階ではひとつ弱点があるという。中性子は、体の表面から6〜7センチの場所までは届くが、それより深いところにはなかなか到達しない。がん細胞の位置によっては、この治療法が有効に機能しない恐れがある。

ホウ素の「的」増やして中性子当たる確率増やす

この「7センチの壁」を超えるための研究が、東京大の片岡一則教授の下で進められている。片岡教授は、抗がん剤を極小のカプセルで包んだ薬剤「ナノマシン」を開発したが、これを応用しようというのだ。つまり、ホウ素製剤をカプセルにくるみ、がん細胞に集中的に届ける。

片岡「(中性子照射の前に、ホウ素の)的を増やすわけです。すると、より効率よく中性子がそこに反応して、放射線が出る」

この方法なら、現在の方法と比べてホウ素の集積度が20倍に上がる可能性があるそうだ。すると、たとえ7センチより深い場所に届く中性子が少ないとしても、「的に当たる」確率はぐっと高まる。

ホウ素中性子捕捉療法は臨床試験の最終段階で、ナノマシンも「ホウ素の製剤をカプセルに入れて使えばいい」状態。つまり、実用への見通しも立ってきているそうだ。安全性の確認を十分に行う必要があるが、片岡教授は5年ほどで十分に臨床までいける可能性があるという。

スタジオでは玉川リポーターに、コメンテーターで女優の高木美保、羽鳥慎一アナ、宇賀なつみアナが質問をぶつけた。

高木「あの機械(加速器)、いくらぐらいですか」
玉川「10億くらい...だからお金はかかります。その代り小さいので、でっかい施設はいりません」
羽鳥「治療はやっぱりお金がかかる?」
玉川「最初は先進医療にはなるんじゃないでしょうかね」
宇賀「今の若い人たちが40、50代になるころには、常識がガラっと変わっているわけですよね」
玉川「変わっていると思います」