米政府が運営する国際放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は中国語版ウェブサイトで10日「朝鮮(北朝鮮)が衛星を“発射”、中国は叱責しながら護っている」と題する記事を掲載した。VOAは報道機関というよりも宣伝機関の色彩が強く、同論説は米国当局の中国への「いらだち」を表したものと考えてよい。(写真はVOAの19日付記事の画面キャプチャー)

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 米政府が運営する国際放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は中国語版ウェブサイトで10日「朝鮮(北朝鮮)が衛星を“発射”、中国は叱責しながら護っている」と題する記事を掲載した。VOAは報道機関というよりも宣伝機関の色彩が強く、同論説は米国当局の中国への「いらだち」を表したものと考えてよい。

 論説は、北朝鮮が7日に強行した「打ち上げ/発射」について、「国際社会は普遍的に、北朝鮮が長距離ミサイルを発射したと主張しているが、中国は北朝鮮側の、衛星打ち上げという言い方を採用している」と指摘。中国の言い方と国際社会の言い方には「鮮明な違いがある」と論じた。

 論説はさらに、中国政府・外交部(中国外務省)も、北朝鮮のミサイル発射について「遺憾だ」とは表明したと説明。中国は、朝鮮半島の問題について冷静さを保つよう呼びかけてているが、「自国民に対しても、国際社会に対しても、中国がなぜ、北朝鮮が衛星を打ち上げたことを遺憾に思い、北朝鮮が衛星を打ち上げたことが、なぜ、朝鮮半島の安定についての問題を引き起こすか説明していない」と論じ、中国はミサイル発射について、明確な態度を示していないとして批判した。

 論説は、中朝国境に接する遼寧省丹東市の市民に話を聞いたが、北朝鮮に対して「(中国にとっての)友かそうでないか分からない」、「庶民が回答できる問題ではない」などと言ったと紹介。

 中国では過去10年間にわたり、中国では北朝鮮について「(米国などに対抗するための)戦略資源なのか、(中国にとって)戦略面での負担なのか」との議論が繰り返され「(新華社や人民日報など)オフィシャルなメディアでも議論が発生したことがあった」と指摘。中国では一般庶民が、北朝鮮を自国にとってどのような存在なのか分からず、混乱していると指摘した。

 論説は、その他の各国は、北朝鮮に対する態度を鮮明にしたと指摘。フランスの国連大使は「北朝鮮のこのような容認できない挑発行為は、今後の大量殺戮兵器を拡散させない制度にも関係しする。従って、(国際社会は)弱腰の態度を示すことはできない」と述べたと紹介。

 論説によると、日本の吉川元偉・国連大使も「中国はもっと話し合うよう呼びかけているが、われわれが現在必要なのは、さらに時間をかけて話し合うことではなく、(北朝鮮に)圧力をかけることだ」と述べたという。

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◆解説◆
 中国はこれまで「北朝鮮を含むすべての国は、平和目的の宇宙開発をする権利がある。しかし北朝鮮は衛星打ち上げも国連安保理で禁止されている。したがって認められない」と説明してきた。中国の北朝鮮非難の論調も、北朝鮮のミサイル発射と前後して、「朝鮮(北朝鮮)は国際社会の反対を顧みず、(1月6日に)核実験を行った。国連安保理は制裁措置を追加する方向で、各国が協議しているところだった」(王毅外相)、「半島を乱すことは百害無益」(新華社)、「衛星打ち上げは情勢をさらに複雑にした」(同)などと、厳しさを増している。

 一方で、ミサイル発射を「弾道ミサイルの技術を利用して人工衛星を打ち上げた」など、北朝鮮側の言い分に、一部は配慮した言い方を続けている。

 VOAの「中国における国内世論の形成」についての指摘は、北朝鮮が1月に核実験を行ったことで、中国では同国に対する反発や懸念の声が出たことをみれば、やや無理がある。見知らぬメディア関係者に話を聞かれても、「国策」に関係することなら特に、庶民は用心して自分の考えをあまり語らないことが多い。

 いずれにしろ、VOAが上記論説を発表したことには、米国政府の中国に対するいらだちがにじみ出ていると考えてよい。(編集担当:如月隼人)(写真はVOAの19日付記事の画面キャプチャー)