「加齢とともに男性機能の衰えは否めません。ただ一方で、男性は年を取るほど、ある部分のセックスアピールが強くなるのも事実です」
 こう語るのは、性感研究の第一人者で医学博士の志賀貢氏だ。

 シニア男性に色気などあるのだろうか。若い頃に比べれば、髪も薄くなり顔には皺が増え、筋肉量も落ちていく。何一つ良い事がないように思えるが…。
 「ズバリ、声です。医学的に考えると、女性は男性の低い声や太い声、渋い声に強いセックスアピールを感じるのです。なぜなら、それは女性にはない部分だからです」

 男性と女性は本来、自分にない部分にエロスを感じるという。我々が女性の豊満な乳房やお尻、もっと言えば女性器にエロさを感じるのは、自分が持っていない部分だからだ。
 声も同じだという。
 「声というのは、ホルモンの影響を受けているのです。第2次成長のとき、男性は男性ホルモンの分泌が盛んになり“声変わり”します。これは女性ホルモンの分泌が多い女性にはない現象なのです」
 確かに男性の声にウットリする女性も多い。かつては恋人などから、「あなたの声が聴きたくて」と、深夜に電話がかかってきた経験を持つ人も少なくないのでは。あれもまさに、恋人があなたの“男”を感じたくて、声を聴きたくなっていたと考えられるのだ。

 さて、ここで本題に戻ろう。シニア男性の武器となる“声”。実は、加齢とともに声が一段と低くなる傾向にある。
 「理由は、皮膚がたるんでくるのと同じで、声帯も緩んでくるからです。すると、若い頃のような張りのある通る声=高い声が出せなくなるんです」
 張りのある声が出にくくなると、カラオケで歌うときはマイナスになるが、女性に色気を感じさせる点ではプラスとなるのだ。

 ちなみに男性は、本能的に低い声を出すときがある。
 「セックスの最中や射精した後、男性は声が低くなる傾向がある。これもホルモンの働きによるものです。男性は興奮すると自然と声が低くなり、女性もまたそうした声を耳にすることで、エロチックな気持ちになると考えられるのです」

 ゆえに、セックスのとき、男性はなるべく低い声で囁き掛ける方がいいのだ。
 「もっと言えば、男性も気持ち良くなったら大いに声を出すべきです。もちろん、女性のように高い声でアンアン喘ぐのはあまり悦ばれませんので、低い声でうめくように喘ぐ。すると、女性は一段と盛り上がるのです」

 こうした声を聴かせるセックスを“声姦セックス”と呼び、性の達人たちは当たり前のように使っているテクニックだという。
 「もちろん、シニアになっても声が高いという人もいるでしょう。低くする方法は簡単。犬式呼吸といって、口を楽に開けて犬が暑いときに息を荒げるように“ハッ、ハッ、ハッ”と矢継ぎ早に小刻みに呼吸をするのです。これは低音ボイスを鍛える発声練習の一つで、プロのミュージシャンも取り入れているトレーニングです」

 まだまだ現役で頑張ろうではないか。

志賀貢
医学博士。内科医として診療する傍ら、260作以上の小説やエッセイを執筆。また、性感研究の第一人者で『かなりHな夜の教科書』(河出書房新社)など、医学的見地に基づいたセックス&口説き術にまつわる著書も多数ある。