10日、日本の電車内で起きた異臭騒ぎの原因として「臭豆腐」の可能性が指摘されたとの報道は、臭豆腐発祥の地である中国の人々の間でも話題になった。これに関し、われわれは食に詳しい中国人ジャーナリストに話を聞いた。写真は臭豆腐。

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2016年2月10日、日本の電車内で起きた異臭騒ぎの原因として「臭豆腐」の可能性が指摘されたとの報道は、臭豆腐発祥の地である中国の人々の間でも話題になった。果たして車内の乗客を騒然とさせたのは中国人観光客が持ち込みでもした臭豆腐なのだろうか。我々は食に詳しい中国人ジャーナリストに見解を尋ねてみた。

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騒動は今月7日、愛知県名古屋市に向けてJR関西線を走行していた電車内で起きた。この影響で電車は約2時間にわたって運行を停止。テレビの報道では駅に駆け付けた複数の消防車両や金属製の容器を手にした防護服姿の人物が映し出されるなど、物々しい雰囲気が伝えられた。

この光景を見た中国人ジャーナリストのR氏は「地下鉄サリン事件を思い出した」と切り出し、日本の今回の対応は(日頃から臭豆腐をよく口にしている)中国人にとって理解できないだろうと話す。

臭豆腐とはヒユナなど植物の汁を使って作る発酵食品で、油で揚げたものを食べる。発祥地は湖南省との説があるが、2000年前に浙江省で作られたとも伝えられている。現在、中国で最もポピュラーなのは長沙(湖南省)と紹興(浙江省)の臭豆腐。屋台で食べる庶民の味として広く親しまれているが、レストランの中にはこれを提供する店もある。紹興の臭豆腐は2015年に米グルメ雑誌「SAVEUR」の「不思議な美食賞」に選ばれたほどだ。

R氏は「中国では全ての省、自治区、市に足を運んだ。台湾、香港、マカオにも行ったことがあるが、どの地域でも絶対に臭豆腐の看板と出会う。夜市や屋台では定番のスナック」と話し、中華系の旅行者が日本に臭豆腐を持ち込んだり、電車内で封を開けて汁をあふれさせるようなことは考えにくいとの持論を展開する。

同氏によると、地域によって臭豆腐にかけるソースは異なるが、どんなソースにせよ揚げたてのアツアツを食べることは基本中の基本。場合によっては油で揚げた臭豆腐をさらに調理して食卓に出すことはあるが、いずれにしても熱くなければおいしさはゼロ。「これをよく分かっている中華系の人々が長距離の移動にわざわざ臭豆腐を持ち運ぶようなことは絶対にない」という。

さらにR氏は、華僑の増加を背景に臭豆腐が輸出される事例もあると説明。中国系市民の多い米ニューヨーク市クイーンズ区フラッシンングのある香港系スーパーでは4枚入りの真空パックで販売されており、「サクサク感はないがレンジ加熱タイプで調理は簡単。ただし、家庭で加熱する際は換気を忘れると大変なことになる」という。

近年、ワインの人気が高まっている中国では、チーズも消費者の間に浸透しつつある。R氏から数年前にチーズをお土産としてプレゼントされた友人も慣れない臭いに最初は抵抗感を示したようだ。R氏は日本の納豆も引き合いに出し、「健康的な食品はいずれ中国人の生活にも広く受け入れられ、“爆買い”対象にもなるだろう」と予測。「グローバル化が進んだ現在、地域色がどれだけ濃くても良い物はきちんとした流通ルートされあれば一気に広がる。そういった意味で中国の臭豆腐が日本で流行する日が来るかもしれない」と期待を込めた。(記事/レコチャ取材班・編集/野谷)