9日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)で、引越し会社「アリさんマークの引越社」を現役の従業員が告発した。

番組では、「密着!会社と闘う者たち 〜"長時間労働"をなくすために〜」と題し、大手企業が強いる長時間労働の実態を特集した。その中で、「アリさんマークの引越社」を取りあげ、現役の従業員である小栗健(仮名)さんの動きを追った。

「アリさんマークの引越社」は、全国に74の店舗と従業員約4000人を抱え、入社3年目で支店長になるだけでなく、年収1000万円を手にすることもできるとしている。

しかし、引越しトラックのドライバーとして勤務していた小栗健(仮名)さんは、状況が大きく異なるようだ。小栗さんは、最も働いた月の給与明細を取り出した。

総労働時間が342.8時間。残業時間は147時間に達しており、国が定めた「過労死ライン」100時間を上回っている。これで、手取りの給与額は27万2602円だという。

小栗さんは、それでも働き続け、営業も任されるようになり、関東トップの成績を収めた。だが、長時間労働から注意力が散漫となり、度々車両事故を起こしてしまう。そのたびに弁償金が給与から天引きされた。この弁償金が積み重なり、48万もの借金に。小栗さんは辞められない状況に追い込まれる。この状況は「アリ地獄」と呼ばれているそうだ。

当時の小栗さんについて、妻は「私はやっぱり異常だなと思っていました」と訴える。小栗さんは寝に帰ってくる有様で、食事しながら椅子の上で寝てしまっていたそうだ。

そこで、小栗さんは合同労働組合「プレカリアートユニオン」に駆け込んだ。小栗さん以外にも「アリさんマークの引越社」からは40人以上の元従業員が訪ねてきたという。

会社側に対して、労働環境に関する説明を求めた。しかし、会社側は弁償金について、小栗さんに過失が存在しているため、負担は当然であると断じた。

また、残業の多さに比して低い給与については、月70時間の労働を「みなし残業」としているとも説明。この「みなし残業」とは、一定の残業代を前もって賃金に含めるものだが、その際に会社側の説明が必要だ。だが、小栗さんは入社時に説明を受けておらず、労働条件を記載した書類も回収されたと証言する。

さらに、小栗さんはその後、遅刻を理由に、シュレッダー係に異動となった。当時の録音音声では、小栗さんの上司が遅刻を責め立て、「何でもかんでも、組合の名前出したら、いけると思ったらあかんぞ!」と怒鳴る声が記録されていた。

そして、異動1ヶ月後、小栗さんは懲戒解雇処分、つまりクビにされたのだ。社内に掲示された張り紙では、小栗さんの顔写真とともに、「罪状」と称した解雇理由が列挙された。その内容とは、「会社の業務上の機密事項及び不利益となる事項を他に漏らした」「自己の権利を主張し、職責を果たしていない」といったものだ。

これは、小栗さんたちが裁判所に申し立て、会社側は約1ヶ月後に復職を認めたが、その地位は解雇前と変わらないシュレッダー係のままだった。

また、副社長が取材中の番組スタッフらに対し、「なに、足踏んでんだ!? コラァ!」と詰め寄る場面もあった。

こうした労働問題をめぐり、300日にも及んだ闘争だが、労働委員会を通じた両者の会談は決裂しており、今後は裁判所、司法に判断が委ねられる。

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