V・プレミアリーグ男子のレギュラーラウンド(全8チーム、3回戦総当たり)が終わり、プレーオフにあたるファイナルに進む6チームが出そろった。昨年、創部84年目にして初優勝を成し遂げたJTサンダーズと準優勝のサントリーサンバーズが、今季はどうしたことか低空飛行で、最終節の最後の試合まで、両チームがファイナル6(※1)の最後の切符を争うことになった。
※この後、上位6位(ファイナル6)のチームが1回戦総当たりを行ない、その最上位が優勝決定戦に進出。2位、3位がファイナル3に進み、対決する。その勝者が1位チームと優勝決定戦(ファイナル)を行ない、優勝チームが決定する。レギュラーラウンド下位2チームは入替戦に回る

 Vリーグでは長らくレギュラーラウンドで8チーム中4チームがセミファイナルに進み、そこで同じ条件からファイナルへ進む方式がとられていたが、この方式だと4強入りが決まった時点で、チームはメンバーを落として休ませる傾向にあった。そのため、最大で約1ヶ月間、消化試合になるケースも見受けられた。それが昨年からファイナル6にもレギュラーラウンドの成績を持ち越す方式に変わり、消化試合がほとんどなくなった。同時にファイナル6に進出するか、入れ替え戦に回るかの、まさに「天国と地獄」の争いもし烈となり、Vリーグ機構の狙いは十分達せられたといえよう。

 NEXT4(※2)の中で開幕当初唯一のVリーガーだった柳田将洋(サントリー)は、開幕戦でサービスエースを決めるなど、柳田目当てで駆けつけた3階席まで満員のファンを沸かせた。ところが、2試合目の途中からベンチに下げられ、以降はベンチスタート要員となってしまった。サントリー自体も黒星を重ね、天皇杯では同じNEXT4の石川祐希を擁する中央大学に初戦で敗れてしまう事態に。
※2 全日本男子・南部正司監督が命名した、石川祐希、柳田将洋、山内晶大、高橋健太郎4名の若手ユニット

 首位を走り続けた豊田合成トレフェルサのクリスティアンソン・アンディッシュ監督には「首位の我々のところにメディアは来ない。メディアはみんな『柳田』『柳田』『柳田』ばかり。彼なんてビリから2番目のチームで、ベンチを温めているだけの選手じゃないか!」と皮肉られる有様だった。

 しかし、柳田は敦賀大会(昨年11月15日)で2セットビハインドの3セット目からスタートメンバーとなり、逆転勝ちしたジェイテクトSTINGS戦などで着実に結果を出した。第3レグ(リーグ戦3巡目)に入ってからはスタメンに定着。チームも5勝2敗と尻上がりに調子を上げたが、時すでに遅し、最終節の最後まであきらめずに粘り続けたものの、わずか1ポイント差で入れ替え戦(チャレンジマッチ)に回ることになってしまった。

「大勢のファンの方が応援してくれることはとてもありがたく思っています。チームがどん底の状況でも支え続けていただけました。でも背負いすぎず、僕なりにがんばっていきたいです」

 柳田は前向きにそう語り、元全日本代表監督の植田辰哉氏も「(入れ替え戦の決まる)プレッシャーのかかる試合で活躍できたことは、彼のバレー人生の中で必ず糧になる」と励ます。3月5日、6日にチャレンジリーグ2位との入れ替え戦がひたちなか市総合運動公園総合体育館で行なわれ、会場が柳田ギャルで埋め尽くされることが予想されるが、ここ数試合の様子を見るかぎり、サントリーは優位にあるだろう。

 内定選手(※3)の山内晶大(愛知学院大4年)も含めて、4人の全日本主力選手を抱えるパナソニックパンサーズは、昨季と同じ4位でレギュラーラウンドを終えた。最終試合前には順位が確定していたが、全日本の主将でエースの清水邦広は試合後に力強く宣言した。
※3 翌年度に学校を卒業予定で、すでに入団が内定している選手は年明け1月から登録でき、試合に出場することができる

「勝ってファイナル6に向かうのと、負けて向かうのでは、チームの勢いも変わります。だから今日しっかりと勝てたことはよかった。チームの得点源として、まだまだセッターの深津(英臣)を助けてあげられたと思う。ファイナル6(の試合)は来週すぐにありますが、まだ自分のプレーを研究し直して、新たなスパイクを見いだしていきたい。去年のファイナル6は全敗でしたが、今年は全部勝ちに行きます!」

 NEXT4の1人、山内は広島大会(1月10日)がデビュー戦となり、8打数3得点2失点という数字だったが、得意のジャンピングフローターサーブでエースを取るなどまずまずの出来。「新人らしくチームに勢いをもたらしたい。技術的にはまだ約束事に体が慣れていないので、そこが課題です」と語っていたが、1月末以降は右手中指の故障で欠場を余儀なくされた。しかし、「早くケガを治して、少しでもチームに貢献したい」とファイナル6以降の出場に意欲的だ。

 一方、最終節の第2試合でなんとか自力で入れ替え戦行きを逃れた昨季の覇者JT。天皇杯で足を故障し、チームも6連敗と苦しんだ主将の越川優は、試合後に安堵の涙を拭いながら話した。

「最後の最後まで(ファイナル6進出を)決められなかったが、絶対にあきらめることはなかった。ファイナル6の第1週の会場は広島県立総合体育館。そこに(広島のチームである)我々がいないということは許されない。(ホームゲームで、ファンの)皆さんのおかげで最後のチャンスをいただけた。しっかりと上位を目指してチームを作り込みます」

 1月23日、24日の三島大会、越川はまだ足が完治しない状態で後衛3ローテーションだけレシーブ固めに入り、堅実にその仕事をこなして連敗脱出のきっかけとなった。

 そして、レギュラーラウンドのトップに位置するのが、ワールドカップ2015の全日本選手は1人もいない豊田合成だ。下馬評を覆し、チーム始まって以来のレギュラーラウンド首位通過。就任3年目になるアンディッシュ監督の、私生活にまで及ぶ徹底した管理によるシステマティックなディフェンスと、チームの総得点の約半分をたたき出す強力な助っ人外国人選手、イゴール・オムルチェン選手が、今季の強い"合成バレー"を形作っている。

 2位東レアローズは7年にわたってオポジットをつとめたデヤン・ボヨビッチ選手に代わって入ったジョルジェフ・ニコラ選手の活躍と、星野秀知、鈴木悠二といった中堅のレフト陣の成長が目覚ましい。長年、全日本でも守備職人として働いてきた米山裕太選手をベンチに置いてもチームが回るようになってきた。

 巻き返しを図るJTやパナソニックと、それを迎え撃つ上位陣がぶつかり、混戦が予想されるファイナル6。今週末13日、広島県立総合体育館でスタートする。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari