「死が2人を分かつまで仲良く」が夫婦の理想だが……

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「最近、何となく体の調子がすぐれないの」。頭が重い、イライラする、疲れが取れない......。こんな原因がはっきりしない妻の不調は、これまでは不定愁訴(ふていしゅうそ)とか更年期障害として片づけられてきた。

しかし、ソレ、あなたの夫が原因の「夫源(ふげん)病」の可能性がある。もう一度、夫婦関係を見直してみてはいかが。

夫は日常生活の多くを妻に依存し、それが妻の命をすり減らす

夫源病は医学的な正式の病名ではない。従来、女性の症状や悩みを聞く心療内科などの間で、「主人在宅ストレス症候群」と呼ばれていた症状を、中高年のメンタルケアが専門の石蔵文信・大阪樟蔭女子大教授が、ズバリ「夫源病」と名付けて一般に広まった。

昔から「亭主元気で留守が良い」とはよくいったもので、夫がいない方が妻はいきいきとしてストレスがたまらないといわれる。妻にとって、夫の存在そのものがいかに健康の脅威になっているかを立証した研究がある。愛媛県総合保健協会の藤本弘一郎医長が、2000年代初めに松山市内の60〜84歳の男女約3100人の健康状態を5年間にわたり追跡調査をした。

そして、配偶者の有無が死亡に与えた影響を分析すると、女性は夫がいる場合が、死別などでいない場合より死亡リスクが2.02倍高かった。逆に、男性は妻がいる場合は、いない場合より死亡率が0.46倍に下がった。夫は日常生活の多くを妻に依存し、それが妻の命をすり減らす結果になることが示された。

では、夫源病はどういうメカニズムで起こるのだろうか。石蔵教授の著書「妻の病気の9割は夫がつくる」などをみるとこうだ。

元来、男は攻撃性の強い生き物だから、そのストレスが自分に向かうと自殺、妻に向かうとDV(配偶者暴力)、子どもに向かうと虐待になる。DVとまではいかなくても、鈍感な夫のささいな日常行動が妻のストレスを増やしていく。たとえば、こんな行動だ。

人前で愛想がいいが、家では不機嫌な夫は危ない

(1)自分の服を箪笥(たんす)から探す。妻がせっかくキレイに畳んだのにクシャクシャにする。そのうえ服を床に脱ぎ散らかす。

(2)休日、妻が買い物に行こうとすると、夫が「俺も、俺も」と勝手に付いてくる。そのくせ「買い物が長い」と文句を言う。

(3)妻が食事の準備をしているのに、テレビを見ながら晩酌中の夫が、やれ「リモコンだ、つまみだ」とちょっと手を伸ばせばすむことを要求する。

脳には視床下部と呼ばれる、自律神経やホルモンのバランスを司る大事な場所がある。夫からの小さなストレスがかかり続けると、知らず知らずのうちに視床下部がダメージを受け、次第に自律神経が暴走し、更年期と似た症状を引き起こすのだ。突然、今までなかった耳鳴りがしたり、横揺れのようなめまいを感じたり、激しい頭痛が起こったりする。病院で検査しても特に異常は見つからない。

では、どんなタイプの夫が要注意なのか。石蔵教授は、チェックリストを紹介している(4個以下なら夫源病の可能性が低く、5〜7個は予備軍、8個以上は夫源病の疑いが濃い)。

(1)人前で愛想がいいが、家では不機嫌。

(2)上から目線で話をする。

(3)家事には手を出さないが(手伝わない)、口は出す。

(4)俺が妻や子どもを養ってきたという自負が強い。

(5)「ありがとう」「ごめんなさい」という言葉はほとんどない。

(6)妻の行動や予定をよくチェックする。

(7)仕事関係以外での交友や趣味が少ない。

(8)妻が1人で外出するのを嫌がる。

(9)今日あったことを話しても上の空。

(10)車を運転すると性格が一変する。

三船美佳・高橋ジョージさん夫妻も「夫源病」?

何やら、芸能人の三船美佳さんと高橋ジョージさんの離婚騒動で明るみに出た「モラルハラスメント」に類似した内容が多い。最近増えている熟年離婚の陰に夫源病が潜んでいるとみられるが、夫と別れないで治すにはどうしたらいのだろうか。

石蔵教授は著書の中で、「プチ夫婦ゲンカ」と「プチ別居」を勧めている。どちらも本気のケンカ、別居に至らない程度に妻が夫にホンネをぶつけて、「雨降って地固まる」を目指すのだ。夫源病に悩む妻たちのあるサイトには「夫をイヌと思えば楽になる」という意見もあった。「相手が変わらないと、嘆き、イラつき、悲しむよりも、自分の捉え方、関わり方を変えることで自分が幸せになれるのです」という。